きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
chibori park
ローマ・チボリ公園 '99夏




1999.10.3(土)

 
暮れに行われる同人誌『山脈』合宿の下見に行ってきました。今回は伊東の城ケ崎海岸のビラです。宿泊施設は別の人にとっていただきましたので、今回は施設見学はせずにアクセス調査を主にしました。伊豆急伊豆高原駅からはバスがないんですね。タクシーのみ。タクシーの運転手さんに尋ねたら、1000円程度とのことで、ひと安心です。あまり高いと来てくれる人の負担が大きくなりますからね。
   991003
     海の吊り橋
 城ケ崎海岸にある海の吊り橋「はしだて吊り橋」です。現在は工事中で渡れませんでした。でも11月末には完成とのことで、これもひと安心。近くにある水原秋桜子の句碑などの見学を考えています。


古河みのり氏詩集『思いのまま』
   omoi no mama
  1999.9.15 花梨社刊 1200円

 線香花火

路地裏の小さなアパートに
若い男女が住んでいる
ひっそりと物音もなく
まるで水槽の中の魚のように

二人は毎夏一度だけ花火を楽しむ
明るい五色の光に
横顔が浮かび上がる

どんな想いが込められているのか
ひとつずつていねいに
光の花を咲かす
静かな日々の節目のように

 信じられないほど静かな、あたたかい作品ですね。作者の他の作品を拝見すると、まったくの作り事を書くような方ではないので、おそらく事実なんだろうと思います。いい若者とそれを見つめる作者の視線に良質な人生観を知らされた思いです。
 略歴を見ますと私の母親にあたる方のようですが、これが第一詩集のようです。15年ほど詩の教室に通って、とありますから、第一詩集をお出しになった喜びはひとしおでしょうね。年輪を重ねられた方の上質さを学ばせてもらいました。


詩誌『地平線』26号
   chiheisen 26
  東京都足立区 銀嶺舎 丸山勝久氏発行

 喪失/たに みちお

僕ガ夜中ニ目覚メルノハ
迫リ来ル不安ニ押シツブサレソウニナルカラデス
僕ガ怒ラナクナッタノハ
空シサガ先ニタツカラデス
僕ガ話ヲシナクナッタノハ
真剣ニ聞イテクレル人ガイナイカラデス
僕ガ笑ワナクナッタノハ
アマリニモ笑イヲ強イルカラデス
僕ガ希望ヲ持タナクナッタノハ
神ヘノ不信ガアルカラデス

僕ハ人間デスガ
沢山ノ人ヲ殺シテミタイト思ッテイマス
ブラックホールヘ落トシテミタイノデス
ソレデモ僕ハ臆病デ無力デスカラ
壁ニ向キ合ッテイルシカナイノデス
僕ハ一体ドウナッテシマッタノデショウ
僕ガ自由ダト感ジルノハ
ジットシテイル時ダケナノデス

 なんと言っていいか判らないほどの喪失♀エが伝わってきます。「僕ガ自由ダト感ジルノハ/ジットシテイル時ダケナノデス」と言う時の作者の気持ちを考えると、胸が締めつけられる思いです。
 作者は何に対して、誰に対して喪失感を持っているかは書いていません。「僕ガ希望ヲ持タナクナッタノハ/神ヘノ不信ガアルカラデス」と言い切ることを考えると、この世のみならず彼岸までを含めたあらゆるものに及んでいると捉えるべきでしょう。
 しかし、そんな中でも「僕ガ夜中ニ目覚メルノハ」「ソレデモ僕ハ臆病デ無力デスカラ」という言葉に私は注目します。これは他者に対する責めの言葉ではありません。自己に向かう言葉です。自己に向かうことによってのみ救いがあるのではないか、と感じるのは思い過ごしでしょうか。



 
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