きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
chibori park
ローマ・チボリ公園 '99夏




1999.10.21(木)

 ワインサロン主催者の藤本義一さんのお通夜に行ってきました。日本ペンクラブの事務局、主だった人たちも参列して、盛大なお通夜でした。たまたま会場に飾られた藤本さんの遺影は、私が以前いただいたパンフレットの表紙と同じものでした。掲載して哀悼の意を表します。
   fujimoto giichi
     故・藤本義一氏
 スキャナーの設定がイマイチのようですみません。これが精一杯のところです。会場に飾られていたのはもっとまともだったことを申し添えておきます。
 大阪の作家、同姓同名の藤本義一さんからの生花も届いていて、交友の広さを偲ばせました。合掌。


小林万利子氏詩集『ひかり』
   hikari
  1999.10.1 ストロベリーフィールド出版刊 1800円

 光、太陽について多く語られている詩集です。鋭い感覚で現象を捉えており、どの一編も読者を飽きさせることはありません。

 日でり

水のみ場にきた
牛がいた
ネズミがいた
蟻がおぼれてしまった

バケツに残った
さいごの一滴を
太陽が 長い舌で
なめた

 乾燥≠「太陽が 長い舌で/なめた」と表現する瑞々しさ。日でり≠ニいう、ある意味では過酷な現象をさらりと表現する作者
に驚かされます。しかし、内部には肝の座った精神があるようです。

 この世にあるものは
 みな うつくしい
 だが いつか このすべてと
 別れなければならない

 これは詩集のタイトルポエムでもあり、帯にも引用されている「ひかり」という作品の書き出しです。この精神が全ての作品の根底にあるようです。それが読者に伝わるから、どの一編も飽きさせない仕上がりになっていると思います。


大石規子氏著『一文字草紙』
   ichimonjisoshi
  1999.10.10 花梨社刊 800円

 すべてのタイトルが一文字≠ニいうユニークなエッセイ集です。しかも、すべて400字以内、ちょうど見開き2頁で一編が終わります。あとがきに書いてありました。あとがき≠煦齦カ字で「記」です。

 「五喜田正巳さんの『砂漠』に寄稿したもので、一文字の題と、制限四〇〇字というのは、その時の形である。」

 どういういきさつで、そんな制限になったかは判りませんが、文章の修行という面ではいいことだと思います。その制限のためでしょうが、切れのある文章です。

 「私の好きな短詩に「つゆ」という題の四行詩がある。何かの詩誌にあったのを書きとめておいたのだが、作者は海達公子さん、熊本出身で十八歳で急死ということだった。教室で中学一年生には必ず紹介し暗記させている。
 雨がやんだ
 ものほしざおに
 ならんだ せいと
 「気をつけ!」  (「」部分)」

 この四行詩もおもしろいし、紹介する大石さんの文章にも切れがありますね。私も勉強させてもらいました。



 
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