きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
chibori park
ローマ・チボリ公園 '99夏




1999.10.23(土)

 きょうは『山脈』例会日。横浜に出たついでに神奈川近代文学館で催されている「永井荷風展」に行ってみました。理由は、タダ券があったから(^^;; でも行って良かったですよ。永井荷風については手持ちの「日本文学全集」で読んだ程度で、それほど作品を読んでいたわけではないので、参考になりました。もちろん図録も求めましたので、後々の参考書とします。
 しかし、意外と若い女性の入場者も多く、人気があるんですね。あういう一見破綻した生活を送った人には興味を覚えるのでしょうか。私は花柳界での生活や、ロック座の踊り子たちとの交流に興味を覚えましたね。芸者、大好きですから(^^;;
 近代文学館に入る前に「霧笛橋」という陸橋を渡ります。そこから撮った写真が、これ。
  991023
    ベイ・ブリッジ
 元町の喧騒を抜けて「港の見える丘公園」に入り、「霧笛橋」の上からベイ・ブリッジを眺める、なんてクサイことですが、たまにはいいですよ。そばに妙齢の女性でもいれば良かったんですが、残念ながらいませんでした。中年の男がひとり淋しく霧笛橋の上に佇む、なんてのも、まあ、絵になるか(^^;;
 山脈例会の方は、風邪で三日ほど寝込んでいた筧主幹もおいでになり、一安心。「今福」の女将さんと「きょうは集まる人が少ないような気がするね」などと話していましたが、結局8名集まって、まあ、いつも通りでした。私はこの三日間、渋谷、横浜と出っ放しで、ちょっと疲れも残っていましたが、『山脈』の仲間と呑んでいると、そんなもの忘れてしまいましたね。でも、ホテルの予約もしていなかったので、二次会は遠慮させてもらって帰りました。


月刊詩誌『柵』155号
   saku 155
  大阪府能勢町 詩画工房・志賀英夫氏発行

 山脈例会で、この詩誌が話題になりました。当日届いていたそうです。私が午前中に家を出たときには届いてなく、田舎だから月曜日にでも届くんでしょうと話をしていましたが、帰ってみたら届いていました。おー、横浜市内と同じに届くんだ!

 鳥籠/織田美沙子

お向いの
ひとり住まいの娘さんが
鳥籠を預けにきた
山陰の実家に帰るらしい
 ことり 好きなのね
 いいえ それほどでも これ 彼のなの
鳥籠に挟んである
洗濯バサミをパチンとはじき
 キャベツはここに と言った

水入れに たっぷり水を注ぐ
待っていたように 水浴びがはじまる
キャベツを差し込む
啄んでは 口を拭う
吸口のような嘴で 水を飲む
せいいっぱい背のびして
飲み下している
喉が蠕動している
男から預かっていることりの
セクシャルな動き

別れぎわには
いつも こんなふうに 首を伸ばして
喉に くちづけをされた
それから 鳥籠を ひょいと手渡された
たしかに そんな感じがした

 うーん、なるほど。「男から預かっていることりの/セクシャルな動き」か。小鳥をそんなふうに見ることができるなんて、正直、驚きです。確かに水を飲んで喉を上げている小鳥は、蠕動していますね。いろんなふうに感じるもんなんだなあ、と感心しています。
 そこから派生した最終連もいいですね。作者が勝手に想像しているだけなんですが、妙にリアリティーがある。言葉の持っている強さ、なんだろうと思います。想像力と言葉の強さ、そんなものをこの作品から感じました。



 
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