きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラカワハギ」




1999.11.5(金)

 日本詩人クラブの理事会がありました。来年への取り組みなどが話し合われました。
 来年は日本詩人クラブ創立50周年になります。祝賀祭、記念出版など目白押しの内容です。文芸団体の中でも50年を越える歴史を持つところは、そう多くはないので、みんな張り切っています。いいイベント、歴史に残るアンソロジーにしたいものです。
 会員、会友の方には広報誌『詩界』が近く配布されますから、詳しくはそれをご覧になってください。また日本詩人クラブのホームページでも随時掲載していきますので、そちらもご利用ください。詩人クラブのHPは私のリンク先から行くことができます。


板橋区民詩集『樹林』第十四集
   jyurin 14
  1999.11.7 板橋詩人連盟発行

 理事会で中原道夫さんよりいただきました。中原さんは板橋詩人連盟の会長もなさっています。この集も10歳から90歳を過ぎた方までの参加があり、大変なものだと思います。板橋区の応援もあるようで、なかなかそういう区はないでしょうね。

 ぼくが作った名前/池田竜雅

しんぶんは 「かみテレビ」
カブト虫は 「ちから虫」
リンゴは  「あかまる」
木は    「立ちんぼう」
カメは   「のろのろこうら」
そして けしゴムは
字を消すから「文字食べ」

 やはり子供の感性というのはスゴイですね。「かみテレビ」だって! 大人はテレビ以前に新聞があったことを知っていますから、新聞からテレビを見ますが、池田君は新聞の前にテレビがあったんですね。テレビから新聞を見るという発想が、私なんかはもうできないことを知りました。
 「文字食べ」の発想もいいですね。即物的に炭素を削っているなんて発想をしていません。食べるという発想には驚きです。こういう自由な発想も残しつつ、科学的なものの見方もできる大人になってほしいものです。


隔月刊詩誌『紙碑』189号
   shihi 189
  静岡県浜松市 伊藤賢三氏 発行

  春近く/山田野理夫

 寺門をでるとあなたは私と肩をならべていた
 あなたはいった お寒いなかありがとう こ
のひと* は中国仏教史家・書家である あなたは
(コトバ)を嗣いだ わたしのからだはすでに焼失して
いるのにわたしの存在しているのをいぶかって
おられますね 物体は架空なのです わたし
のすがたがみえるのはあなたのたましいがわた
しのたましいと交感しているからです

 ふたりは杖を突いているはずなのに音はきこ
えぬ

 あなたはいった もうすぐ暖かくなりますね
オヤあなたの門の灯がみえます ここでお別れ
しましょう あなたは闇に溶けた 星ひとつ
きょうあなたの三回忌である
       
* 野村耀昌 号無象

 このタイトルは素晴らしいと思いました。もちろん私なぞは山田さんの心境が判るまでに達していませんが、詩作品として拝見すると、このタイトルで参ってしまいます。亡くなった方への思いがこれほど昇華されたタイトルはなかなか無いと思います。
 「物体は架空なのです」などという言葉を出されると、以前なら反発したものです。しかし、最近では判るな気になっています。物質は現に存在しますが、架空だと思うようになりました。特に科学技術で作り出されたものにそれを感じます。技術屋としては言うべきではないのかもしれませんが、自分が作り上げた機械が、5年、10年で陳腐になっていくのを見ると、架空だと思わざるをえません。それを理解しながらモノを作ることが本来の技術屋の仕事、とも考えるようになっていますが…。



 
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