きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
mongara_kawahagi.gif
新井克彦画「モンガラカワハギ」




1999.11.6(土)

 螻の会というのがあります。ケラノカイと読みます。4年ほど前に入れてもらいました。山田今次さんを囲む会のようなものだったんですが、山田さんが亡くなった今も続いていて、私が楽しみにしている会のひとつです。
 今回は菊田守さんの新詩集『白鷺』の出版記念会になりました。記念会というのは大げさで、菊田さんを囲んで呑む会、と言った方が正確でしょう。12〜3名の人たちが集まって、螻の会の集まりとしては多いぐらいでした。呑みながら批評会のようなものをやって、けっこう真面目でしたよ。
 991106
   「ジョンブル」にて
 一番奥が菊田守さんです。日本現代詩人会の理事長もおやりになった方ですから、ご存知の人も多いかもしれませんね。一言で言えば、紳士です。詩集からもそういうイメージを受けます。でも実生活ではヤクザを相手にしたりしていたようで(もちろん仕事上で)、並の紳士≠ニは違います。詩人って、ホントに複雑です(^^;;


島田陽子氏詩集『おおきに おおさか』
   okini osaka
  1999.11.1 編集工房ノア刊 1300円+税

 ほんまにまあ、おもろい本もろた、と急に大阪弁になってしまいましたが、おもしろい詩集です。どれを紹介していいか迷うほどです。島田さんは「大阪ことばあそびうた」「続大阪ことばあそびうた」と続けて大阪弁の詩集を出されていたそうで、今回も「続続大阪ことばあそびうた」と副題がついていました。前二冊の存在は知っていましたが、手にしたことはありません。今回、三冊目をいただいて、うれしくて中2の娘にも見せびらかしました。とられないように隠しておこう(^^;;

 せぇてせかん
          せぇてせかん…急ぐようで急がない意だが、
          その実はあまりゆっくりとしてはいられない
          のを婉曲にいっている


せぇてせかん は
せぇてはる
せぇてるようで
せかへん と
いうてはるけど
せぇてはる
せぇてる いわんと
せぇてはる
 いつ できまっか と
 いうてはる

せぇてせかん は
せぇてはる
せかへんようで
せぇてる と
いいはらへんけど
せぇてはる
せかへん いうて
せぇてはる
 いつでも ええ とは
 いいはらへん

 巻頭の作品ですが、大阪人らしいところが見事に出ていると思います。大阪というところに住んだことはないのですが、詩人仲間は多くいますし、なんだかんだで毎年のように行っています。なにより私の勤める会社は関西系で、大阪や京都からかなりの人たちが入社しています。1000人ほどは関西人がいるのではないかと思います。彼らと日常的に仕事をしていますから、ある程度関西弁は判るつもりです。
 大阪弁と京都弁の区別はつけ難いですけどね。冒頭の私の言葉も、実は大阪弁なのか京都弁なのか判りません。
 それにしても関西の人たちは言葉を直しませんね。ずーーっと、関西弁のままです。関東人はすぐにうつってしまいますがね。
 やっぱりこの詩集を読んで、関西の人たちは自分たちの言葉を大事にしているんだな、と思いましたよ。語彙とニュアンスの豊富さには脱帽です。


日本現代詩文庫62新編島田陽子詩集』
   shimada yoko shisyu
  1999.11.1 土曜美術社出版販売刊 1300円+税

 こちらも島田さんからいただきました。年譜がありますので、島田さんの今までのお仕事がよく理解できます。1970年の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちわ」も島田さんの作詞です。
 そんな数多い作品の中から、紹介したいのはやはり、これです。

 うち 知ってんねん

あの子 かなわんねん
かくれてて おどかしやるし
そうじは なまけやるし
わるさばっかし しやんねん
そやけど
よわい子ォには やさしいねん
うち 知ってんねん

あの子 かなわんねん
うちのくつ かくしやるし
ノートは のぞきやるし
わるさばっかし しやんねん
そやけど
ほかの子ォには せえへんねん
うち 知ってんねん

そやねん
うちのこと かまいたいねん
うち 知ってんねん

 大阪書籍『小学国語教科書四年』(1989年、1993年)、日本書籍『小学国語教科書四年』(1992年、1993年)に掲載されたようですか
ら、ご存知の方も多いかもしれませんね。
 もう、私がとやかく言う必要はありません。作品を楽しんでください。でも、これって、小学生の世界だけじゃありませんね、大人も同じ(^^;;



 
   [ トップページ ]  [ 11月の部屋へ戻る ]