きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラカワハギ」




1999.11.11(木)

 日本ペンクラブ電子メディア対応研究会用のノートパソコンを買うことになりました。お前が選んで買ってこい、ということでしたので行きつけの量販店に行って買ってきましたが、安くなりましたね。
 セルロン400MHz、メモリー64MB、HD6.4GB、20倍速CD-ROMドライブ付きで24万円弱。3年前なら、その半分の性能で40万円弱でしたから安さには驚きます。それと同時にメーカーの血の滲むようなコストダウンがしのばれます。ジャンルは違いますけど、同じような装置産業に属していますから、コストダウンの厳しさは判っているつもりです。
 そうやってコストダウンを進めて、省人化を進めて、8階建ての工場にたった3人しかいなくても製造できる設備を作って、その揚句が自分たちの子供が就職できない社会にしてしまって、俺たちは何をやってきたんだろうと思いますよ。
 でも、そのお陰で消費者に安くて性能のいい商品を提供できるんだから、ヨシとするか、という気持ちもあります。難しい問題ですね。まあ、製造業だけが社会じゃないから、救われる思いもしています。


個人誌『粋青』19号
   suisei 19
  大阪府岸和田市 後山光行氏 発行

 台湾の切手が貼ってあったので驚きましたが、アトさんからの郵便でした。相変わらず忙しそうですね。出張先からの投函のようです。
 あれ? 出張先から投函した理由が「あとがき」に書いてありました。送料の節約が出来るかも? とあります。さて、節約になったかどうか…。

 時差

九月二十日 日曜日 夜十時
九月二十一日のお昼のNHKテレビニュースを見る
暦のうえでは未来のニュースになる
ここでは常に未来の日本を見続ける不思議
昔はなかったことだけれどもこの便利さは嬉しい
太平洋の向こうメキシコの事である

ここに滞在する友人の話では
起床すると当日の夜九時のニュースを見てから
出かけるのだそうだ

常にスペイン語が流れている異国で
テレビの画面から日本語で語りかけてくる
この現実は興味深い

日本より
大きな部屋が
少ない家具や荷物で
ひろびろとしている
そのなかに日本語が流れて
しだいに空間が日本に変わっていく
わずかなひととき
------日本では大きな台風が接近している
スイッチを切ると
ふたたび異国の空気で埋まってしまう

   メキシコにて
   カレンダーは一九九八年

 これはおもしろい。衛星放送が発達したから起きた現象ですね。ラジオでも同じ現象が起きるはずなのに、こんな話をあまり聞いたことがないのは、テレビというキャラクターの強烈さの故でしょうか。
 未来のニュースねぇ、こうやって教えてもらうと、現実にはすでに実現しているんですね。推理小説のネタに使えそうですが、そんな小説あったかなぁ。誰か使うかもしれませんね。


千葉県詩人クラブ『千葉県詩集』第32集
   chibaken shisyu 32
  1999.11.5 千葉県詩人クラブ 発行

 日本詩人クラブの会員でもある諌川正臣千葉県詩人クラブ会長よりいただきました。会員107名と会員外11名の参加があった、と「あとがき」にあります。千葉県内だけの数字ですから、大変なものだと思います。
 紹介したい作品がたくさんあって困ってしまいます。その中で、短いから、という理由もありますが次の作品を選んでみました。

 終の暮らし/高橋まつえ

終の栖は 方丈で
茶碗 汁わん 皿一枚
寒さをしのぐ
衣服と褥

そんな暮らしが 夢

なのに また
宝くじを買ってしまって

 何も言うことはありませんね。人間なんてそんなものだ、と言われているようで、わが身に振りかえって考えてみても、その通りだし、反論のしようもありません。しかし、それと同時に作者のあたたかさを感じて救われた思いもしています。
 世の中に対する批難、揶揄なら誰でもできます。大事なのは、じゃあ、こうしようという対案を考えることだと思っています。それと、批難のための批難、揶揄のための揶揄にならないことでしょう。この作品にはその上の「あたたかさ」があって好感を持ちます。こんな作品、作れそうでなかなか作れないと思います。



 
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