きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラカワハギ」




1999.11.27(土)

 江東区の「深川江戸資料館」に行ってきました。地元の山田隆昭さの案内で、原田道子さんらとご一緒しました。一度は行ってみたいと思っていた場所でしたから、ずいぶんと参考になりました。特に企画展示の「江戸深川の町と長屋の暮らし」というのが良かったですね。なんと江戸の町では7割の人が長屋住まいだったんですね。それも4畳半か6畳の部屋で…。江戸の昔から東京は住宅事情が厳しかったんですね。
   991127
 写真は大福帳を手にする山田さん。似合ってるなぁ、坊さんより商人の方が向いているんじゃないかなあ(^^; おっと、貴重な時間を縫って案内してくれた人に言うべき言葉じゃありませんね。失言。
 いつもは何かのイベントで出かけることが多いのですが、今回は小人数でブラリ。こういう日はあまりないので、命の洗濯になりました。こういう日を多く作らないといかんな、としみじみ思った休日でした。山田さん、ありがとう!


詩誌『黒豹』92号
   kurohyo 92
  千葉県館山市 諌川正臣氏 発行

 空想酒場/諌川正臣

ロマンを売るその店の名は「虹」
季節のかわりめごと
メニューの脇に
水茎のあと鮮やかに書き出される
ママさん得意の洒落たフレーズ

「暑くて熱い夏の到来
花火のように思いきり燃えて
恋の花を咲かせてみませんか」
フレーズはまだ続きます
「ただし 誰にも気づかれないように
相手にも」

いまさら何をと言いつつも
熱い思いを失ったわけではない
ハイビスカスの紅い花
こっちを向いて咲いている花もある

誰にも迷惑をかけることなく
この思い貫きとおせということか
さしあたって雲の刺し身で一杯
焼酎は夢芝居がいいね
愛の塩焼きも頼んだよ

どんなに熱くなっても口には出さず
ふくらむ思いは胸のうち
こうしてこの夏も過ぎて行く

九月のはじめ店は休み
ママさん今年もお出かけか
越中おわら風の盆

 こういう作品が理解でき、共感できる年齢になったなぁ、と自分でも思います。熱くなる、ならないは年齢には関係ないのかもしれません。しかし私は年齢のせいにしたいですね。そして、それを楽しんでいます。「誰にも迷惑をかけることなく」自分の空想の中で楽しむことは、生身の女性を相手にするより、広がりがあるように思うのです。
 この作品では「この思い」とありますから、作者と私はそこがちょっと違います。そんな思いなんか全然なくなっていますね。そういう思いがあると行動してしまう方ですから、やっぱり、この作品を心底理解しているとは言えないのかもしれません(^^;;
 うまいなあ、と思うのは終連です。「越中おわら風の盆」というひとことで、このママさんの性格まで出しているようで、さすがですね。こんな詩をつくってみたいものです。


詩誌『岩礁』101号
   gansho 101
  静岡県三島市 大井康暢氏 発行

 我流生物学入門門林岩雄

  生きる意味

ナンノムツカシイコトモナイ
タベテネ
ゴダネノコシテシヌダケヨ

こううそぶいてカマキリは
メスのそばににじりよった

 「我流生物学入門」と総タイトルがつけられた作品が4編並び、その中の一編を紹介してみました。なんとも怖い詩ですね。もちろんご存じのように、この後オスはメスに食べられてしまうはずです。それを知ってか知らずか「メスのそばににじりよった」オスの「生きる意味」を考えてしまいますね。
 門林さんは確かお医者さんだったと記憶していますが、医師としての観点も入ってるのかもしれません。カマキリも人間も、男と女は同じようなものよ、と説かれているのか、これは私の穿った見方です。
 その他、評論で木村哲也氏の「詩壇やぶにらみ」がおもしろいです。詩人も必要だが読者も必要だ、という接し方で詩壇に入り込んできた氏の見方は、かなり鋭いものがあります。「自費出版について」「アマの詩人とプロの詩人」「詩を論じる資格」「投稿欄について」「ひどい出版記念会」など、私も思い当たるものがあります。機会があったらご一読を薦めます。



 
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