きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
mongara_kawahagi.gif
新井克彦画「モンガラカワハギ」




1999.12.9(木)

 師走になって、そこそこ忙しい思いをしています。2日でいいから会社を休んで溜まった仕事を片づければすっきりするなぁ、と思うのですが、なかなかそうもいきませんね。毎日、2時間3時間と時間を小出しに使って片づけているのは、我ながらいじましい気もします。酒呑む時間を削れば、もっと早く片づくのになぁ、とは思いますが、こればっかりは無理です(^^;;


五喜田正巳氏短編集『風の旅立ち』
   kaze no tabidachi
  
2000.1.20 LD書房刊 500円

 日本詩人クラブ常任理事としてご一緒させていただいている五喜田さんより頂戴しました。7編の短編を集めた小説集です。男女の関係をさわやかに書かれたものが多く収録されています。しかも中年の男女が主人公で、夢がありました。
 私も中年ド真ん中(^^;; ですから、よく判りますね。しかし小説に書かれたような恋愛など、まったくナシ。夢のような世界に圧倒され気分です。情熱も無くなったようですけどね。メンドーだし…。
 「暗い日の散歩」という作品が特に印象的でした。おそらく1950年代か60年代の時代設定だと思います。ストライキでピケから締め出された男女の、多摩湖までの「散歩」が場面設定になっていますが、なんともさわやかな読後感でした。


詩誌『ぷりずむ』4号
   prism 4
  東京都八王子市 原田道子氏 発行

 おなら/奥沢 拓

或る晴れた冬の昼下がり
母と私は病院の池の前のベンチで日向ぼっこ
最近ほとんどしゃべれなくなった母は
目を開けているのもかったるいと
いつもずうーっと目をつぶっている
池の中で遊んでいるカルガモの親子をながめながら
あんまりあったかくて気持ちが良いので
私は思わずドカンと大きなおならをしてしまう
アハッと隣の母が笑う
まだ聞こえる
まだ分かる
私はしみじみ嬉しくなる

 なんとも言えず胸が熱くなりました。「まだ聞こえる/まだ分かる」と作者の感動がこちらにも伝わってきます。いい息子さん、そして、いいお母さんなんだろうな、と思います。
 私も母を病院に何度も訪ねた経験がありますが、日向ぼっこをした覚えはありません。ベッドから起き出すのがしんどかったということもありましたが、そういう発想が無かったんです。3年前に死んでしまいましたが、一度だけでも日向ぼっこに連れ出しておけばよかったと、この作品を拝見して思いました。大事にしてあげてください。



 
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