きょうはこんな日でした 【ごまめのはぎしり】

1999.3.17(水)

 1997年より日本詩人クラブのОA化推進専門委員というのをやっています。詩人クラブ広報誌の『詩界』にも紹介されましたので、公にしてもいいと思いますから、ここでその活動を紹介します。やっている内容は主に会員名簿の電子化です。現有会員約800名の他に、死亡会員、退会会員を含めると1500名ほどになりました。それもようやく終わりが見えて、1年以上に渡る成果がすでに出始めているようです。

 なんでこんなことを始めたかというと、理事会が会員名簿について困ることがある、と聞いたからです。何かの賞をとった会員についてマスコミから問い合わせが来てもすぐに答えられない、著名な会員詩人が亡くなってもしかり。それと詩人クラブには入会20年以上、満80歳以上の会員を永年会員として表彰する制度がありますが、該当者の調査が思うようにいかない、などの問題点もあったようです。
 最初に私が手をあげたのか、理事会から要請があったのか、どちらが先かは忘れましたが、まあ、そんな訳で始まった仕事です。しかしやってみると、これがなかなかシンドイ。なにせ50年の歴史をもつ会です、西条八十や河井酔茗、高村光太郎などといった著名人は文献もあるので良かったんですが、そうでない会員は調査が大変でした。

 しかし、それが私にとっては勉強になりました。極論すれば日本の現代詩を一望したことになりますから、これ以上の財産はないと思います。ただお断りしておかなければならないのは、これは私物ではありません。日本詩人クラブの共有の財産です。日本詩人クラブの名でパソコンを買い、ソフトを買っています。
 もうひとつ気にしなければいけないのは、権力を握るな、ということです。とかく会員情報を握った者は、それを武器に権力志向になり勝ちだと思います。私はそうしない、ということを明言しておきます。ですから会員名簿の情報は各会員にフィードバックして、把握している情報を各人に知らせるべきです。これは私個人としても理事長に提案しています。

 電子化したことで利用度がグッとあがってきました。こまかな調査依頼や出版社からの依頼も来ています。しかし前出のように詩人クラブの財産ですから私の一存では答えません。いちいち理事長の許可を得て返答しています。この辺が権力志向になりやすいところだと思いますから、より気をつけています。このホームページは詩人クラブの会員も何人かは見ていますから、そのあたりをご理解いただきたいと思います。私のあとに誰かメンテナンスを引き継ぐことになるかもしれませんから、担当した人は留意してもらいたいと公言します。

 さて、本日いただいた詩誌の紹介です。


詩の雑誌『鮫』77号
   same 77
  東京都千代田区<鮫の会>芳賀章内氏発行

 芳賀さんとは3年ほど前に「螻(けら)の会」というところで初めてお合いして以来のおつき合いです。「螻の会」は昨年亡くなった山田今次さんを囲む会のようなところです。山田さんは亡くなりましたが、今でも続いています。
 芳賀さんは「雄山閣」という出版社のエライヒトだったようですが、1年ほど前に定年退職なさっています。今は悠々自適と見うけられます。在職中から悠々自適だっように私は見ていましたが、これはゲスの勘ぐりです。

 猿のおとこは いま
 「見ざる」猿
 「言わざる」猿
 「聞かざる」猿
 では駄目と思う
 青面金剛(しょうめんこんごう)の忿怒の相の下で
 猿のおとこが
 聖人の振りをやめようと考えるとき
 臆面もなく
 日本の風の存在が吹きつける   (「猿の舞」第二連・部分)

 いつも酔うと私と二人で議論します。まわりの人たちは二人とも眼中にありません。まわりの人たちは「またやってるな」ぐらいにしか思っていないようです。たいした議論ではありません。醒めると忘れてしまいます。しかし、いつも後味がスッキリしています。議論のとっかかりはお互いのモノの見方の違いのようなところだと記憶しています。最後には「なんだ、おなじうなことを考えているじゃないか」で終るようです。だから後味スッキリなのかもしれません。
 芳賀さんは私より一回りも上の人ですから、私が先輩をたてて下手に出ればいいのでしょうが、なぜかそんな気持になりません。とことんぶつかって行ってやれ、と思わせる人です。そんな人はめったにいません。真面目な人なんでしょうね。この作品を見ても改めて思います。“「見ざる」猿/「聞かざる」猿/「言わざる」猿/では駄目と思う”は芳賀さんの本音ではないでしょうか。二人で議論していて、いつも結論はそこに落ち着いています。
 若輩だろうが、先輩だろうが、いいものはいい、悪いものは悪い。いつもそんなことを教わっているように思います。この作品の中で「日本」という文字が出てくるのはここだけですが、頭の根底にいつも「日本」を考えているように感じます。そんなところにも私は惹かれているのかもしれません。
 芳賀さん、また呑みましょう!



      
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