きょうはこんな日でした 【ごまめのはぎしり】

1999.3.18(木)

 きょうは小学校PTAの役員会がありました。新旧役員のひき継ぎです。今年度1年間は広報委員長でしたので、新しい委員長に一式ひつ継いでもらいました。いやあー、うれしかったですね。広報は楽しい担当でしたが、それでもやっぱりひつ継いだときの開放感、最高でした。
 あとは4月に入ってからの総会が終れば、まったくのフリーになります。メデタシ、メデタシ。


詩集『真夏のしもやけ』飯島幸子氏
    manatu no simoyake
  1999.3.31 土曜美術社出版販売刊 2000円

 日本詩人クラブ会員の飯島さんからいただきました。面識はたぶん、ないと思います。読みやすい作品で、まるで小説を読むように拝見しました。

 職場に 若い女子職員から電話が入った
   寝坊してしまったんです 「時間休」をください
 彼女の家は 職場から歩いて十分もかからない
 私は即座に言った
   今すぐ すっ飛んで来れば間に合うから
 彼女は笑いながら
   お化粧しないでなんて 外は歩けません (「化粧」部分)

 正直、驚きです。そんなにも化粧が大事だとは知りませんでした。飯島さんも驚いたから詩にしたんでしょうが、このあたりの若い女性心理はよく判りません。はあ、なるほど、そんなもんなんですかね。
 実は逆の意味で驚いたことが最近ありました。朝の10時頃だったと思いますが、私の住んでいる市を走っているローカル線に載りました。乗客はひとつの車両に10人ほどしかいませんでした。そのうちの若い女性がひとり、熱心に手鏡を見ながら化粧しているではありませんか。私も意地が悪いから、お見合い電車のまん前の席に座って観察しました。
 まあ、その念入りなこと。紅を引いて、睫毛を抜いて、眉筆ってんですか、あれで眉に線を引いて、、、 見ていて飽きませんでしたね。

 そこまでは、まあ、今までにも何度か見たことはあります。小田急線なんか結構いますね、そんな女の子。驚いたのはそのあとです。新たに乗客が乗り込んできて、そのうちのひとりが同じように化粧を始めたんです。次の駅でもまた女の子が乗り込んできて、その子も始めた!
 10人ほどしか乗客がいない中で、若い女性が三人、一所懸命化粧に余念がないんです。これは異様な光景でした。三人が三人とも他人の目なんかまったく気にならない風で。彼氏にだけ仕上がったところを見てもらえればいいと思ってるんでしょうかね。

 この作品は逆なんですが、なにか共通するようなものを感じます。相手が不特定多数か特定かの違いなんでしょうか、よく判りません。あれっ、これってうちの地方だけの特徴なんでしょうか?
 ちなみに足柄山のふもと、神奈川県南足柄市に私は住んでます。小田原市の隣町です。


詩誌RIVIERE43号
    riviere 43
  大阪府堺市 横田英子氏 発行

 今号は表紙が変ったことにまず気付きました。奥付を見ると、なんと永井ますみさんの作品ではありませんか! 写真をパソコンに取りこんで加工した、とありますが、なかなかのものですね。彼女のホームページを見ると、そのセンスの良さが判ります。

 漆黒を輝かせるために
 朱の下地が必要なのだ
 ひとり
 あかい染料を水で溶く人  (古藤俊子氏「馬塚」第三連)

 確かにこれはありそうですね。忍者の黒頭巾はやはり赤が入っていたそうです。なにか人間の網膜構造と関連がありそうです。改めてこうやって作品で見せられると、ハッとしました。

 今度生まれるとしたら何に生まれよう
 わたしには何に生まれるのが一番いいのか
 選択ができない  否定も肯定もできない
 蛇に生まれれば蛇のように
 ミミズに生まれればミミズのように
 やはりわたしは一日一日を
 自分の限界という中で生きていくしかないのだろう
     (石村勇二氏「今度生まれるときは」第五連)

 石村さんは幻聴という病をかかえている人です。そういう背景でこの作品を見ると“自分の限界”という言葉の重みが判ります。“限界”なんてこと言わないで、と言いたいのですが彼のかかえている苦労を考えると、とても言えません。むしろ“限界”まで挑戦するんだ、という彼の意気込みのようなものを感じるほどです。そのひたむきさ、ま正直さが余計に苦労を背負いこませているのかもしれません。陰ながら応援するばかりです。

 いつからか
 火を囲んだ時間が失われていった
 身にまとう衣が 幾重にも重ねられ
 身の内まで覆った頃から
 身をよじって起こした火は消えてしまった 
      (横田英子氏「火の祭り」第三連)

 “身をよじって起こした火”とは火打石や木を摩擦して起こした火のことです。人間が最初に制御したモノは火ではなかったろうかと思っています。キャンプに行って焚き火を身ながら酒を呑んでいる時間が一番好きです。なんとも言えぬ幸福感に浸ります。火を制御しているという満足感がDNAに記憶されているのかもしれません。
 ここではそれが失われたことを言っていますが、あるいはイジメや学級崩壊などの問題もその辺にあるのかな、なとど突飛なことを考えています。個人の力では何物の制御できなくなった現代人のストレスが、いろいろな場面に噴出しているのではないでしょうか。



     
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