きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】

1999.4.1(木)

 いよいよ4月ですね。きょうは陽も出て、いい一日でした。春、という感じがよく判る日でしたね。桜も満開に近くなってます。来週の金曜日には職場で花見をやろうということになっていますけど、もう散っちゃってるでしょうね。まあ、いいか、酒さえあれば・・・。それにしても、ネムイ、、、、。
  そんなボワンとした気持ちを吹き飛ばすかのように、4月第一日のきょう、パンチの効いた詩誌がとどきましたよ。ご紹介しましょう。


詩誌『すてむ』13号
    stem 13
  東京都大田区 甲田四郎氏 発行

 ねてる奥さんのパジャマのボタンがはずれて
 乳首がこぼれている
 それをちょっと吸ってやる
 ぷちゅん
 するととなりのおくさんが
 ふるえる
 となりのおくさんはていしゅに
 吸ってという
 ていしゅは
 ぷちゅん    (尾崎幹夫氏「ぴくん」部分)

 いいなあ、こういう詩って。本当に春だなあ、という気がします。でも、そう簡単に「いいなあ」とばっかりは言ってられないのです。これに続くのが、

 そのとなりのおくさんもぴくん
 そのとなりのおくさんもぴくん

なんです。ちょっと考えこんでしまいました。

 「むくむくのジャンパーどこへやった」
 「あれはやめな、二十年前のだからみっともない」
 「六十年前の顔をくっつけておいてなに言ってんだい」
 亭主は笑うが女房はふくれて外へ出て
 いとこの車を待っている    (甲田四郎氏「お正月」部分)

 これは笑えます。この人の作品にはユーモアのセンスがあって、次はどんなのを書くのかと、いつも興味深く拝見しています。しかも笑いだけでなく、そのあとには「面白うて、やがて悲しき」です。「悲しき」だけではなく、社会の矛盾を鋭く突いたりして、結構シリアスです。この作品も、このあとは特別養護ホームへ行くことになります。
 他に、実話かどうかは別にして、戦後すぐに留置場に入れられた経験を散文詩にしている 坂本つや子氏「消えた留置場」もいい作品です。これはシリーズで、ここのところ毎号発表されています。 長嶋南子氏「ハニー」「カツ丼」も面白い視点です。

 「すてむ・らんだむ」という雑記の頁があります。全同人が原稿用紙2枚ほどの雑記を書いています。こういう頁があると、ひとりの詩人の詩作品と文章を見ることができ、その人の素顔に迫れるような気がします。読者としてはうれしい構成だと思います。「いい作品の背景には、いい文章がある」というのは筧槇二さんの言ですが、その通りだと思います。『すてむ』のメンバーは、その意味でも粒選りです。



  
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