きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
  
980510 1998.5.10
 
この頁も淋しいので、こんな写真を入れてみました。中原道夫さんに連れて行ってもらった池袋の会員制クラブにて。ときどき坊主頭にします。


1999.4.10(土)

 日本詩人クラブ賞、新人賞の贈呈式がありました。今年度の詩人クラブ賞は木津川昭夫氏の『竹の異界』。新人賞は樋口伸子氏の『あかるい天気予報』。木津川さんは、昨年私が日本文藝家協会に入れてもらうにあたって推薦理事になってくれた方です。それもあるけど、もう20年以上も前からの知り合いです。これは行かねばなるまい、ってんで行ってきました。


日本現代詩文庫28『新編 木津川昭夫詩集』
    kitukawa akio sisyu
  1999.4.10 第二版 土曜美術社出版販売刊

 会場でいただいたのがこの本です。当然、サインしてもらいました。第一詩集の『幻想的自画像』から、この詩人クラブ賞受賞の『竹の異界』までが収められています。当然ながら年譜や解説もあって、木津川昭夫詩の研究には欠かせない一冊と思います。また、主に『風』に載せた詩論・エッセイもあり、違う側面から木津川詩を眺めることもできます。

 ある夜 電車の中で快活な編集者に出会った
 −先月死んだ詩人のОについての座談会をやったんだ
   後でゲラを見るとОが出て来て
   さわりの処で直接発言しているんだよ
   女の子が気味悪がって残業しなくなってね
   一冊の詩集もなかったОは寂しかったのかなあ (「誤植 第3連)

 1979年刊行の第3詩集『夢の構造』に収められている作品の終連です。私も同じ題の詩をつくったことがあります。住宅販売の折込広告に「駅から歩いて12分」とすべきところを「12年」と誤植してあるのを発見しての詩です。私の場合は直接的に書いてしまいました。木津川さんのこの作品とは大違いです。О氏が直接発言するなど、考えもしませんでした。学ぶことの多い詩集です。


詩誌『展』51号
   ten 51
  東京都杉並区 菊池敏子氏 発行

 当日の会場で菊池敏子さんからいただきました。このコーナーでも一度「1月の部屋」で紹介している詩誌です。

 わたしは確かめてみたかった
 かつて習った植物についての約束ごと
 三原色の二つの色を咲いてしまった花は もう
 けっして三つ目の色を咲くことはできない
 この掟めく植物学上の法則は生きているか
 ドリーが産まれ
 大気圏に 人が行き来するいまの世も
 まだ その法則は生きているか   (菊池敏子氏『三つ目の色 』第2連)

 青い薔薇はないか、と訪ねる菊池さんの作品です。私は本当に植物については無知でして、三つ目の色はない、なんてことは知りませんでした。不思議なものですね。そして菊池さんは、人間の手によって三つ目の色を咲かせられてしまうことを危惧します。
 かつてレーザー光線は赤色のみでしたが、とうとう人間は青色も作ってしまいました。まあ、どうせ工業にしか使わないレーザー光ですから、赤だろうが青だろうが構わないわけです。しかし生命を持つ植物では、そうはいきませんね。そこまで人間は手を出してはいけないのかもしれません。


詩歌文藝誌『GANYMEDE』vol.15
   ganymede 15
  1999.4.1 東京都練馬区 銅林社 武田肇氏発行

 これも当日会場で、宗美津子さんからいただきました。その宗さんの作品から、次の一節を紹介します。

 丸い時間機械に追いたてられて細長い帯
 の上の細長い虫のような陸舟にのせられ
 て丸い金属と重たい紙に執着するパパラ
 ギは何と悲しいのだ……   (「パパラギもどき」部分)

 西サモアの酋長ツアイビさんの演説集『パパラギ』からの抜粋、と紹介されています。「パパラギ」とは白人・文明人を指すそうです。同様に「時間機械」は目ざまし時計を、「細長い帯」は鉄道、「陸舟」は列車、「丸い金属」はコイン、「重たい紙」は紙幣を指します。
 そんなものに執着するハパラギはなんと悲しいことか、とツアイビ酋長は言うわけですが、宗さんは自分を「パパラギもどき」と規定し、実はパパラギもどきはいっぱいいるんだ、とうたいます。文明の何たるかを考えさせられる作品ですね。
 どうも作品から推測するに、演説集『パパラギ』は宗さんの父上の遺品の中にあったようですから、『パパラギ』が出版されたのはかなり前だと思います。そうすると今現在の文明よりも、もっと前のことを『パパラギ』は言っているわけですね。おそらく100年近く前のことではないかと思いますが、「文明」の仕組みが何も変っていないことにも気付かされます。
 西サモア諸島もこの100年でかなり変ったことでしょう。今の西サモアをツアイビ酋長が見たら、なんと表現するか興味を持ちました。

 さて、詩人クラブ賞の贈呈式ではインスタント写真、デジカメでたくさん写真を撮りました。インスタント写真はそのまま家まで持ち帰れば、スキャナで電子化して、このHPにアップできます。ところが会場で撮った人に全部あげてしまいました。デジカメは会社のパソコンでないと処理できません。HPにアップするからね、といろいろな人に断わって写真を撮らせてもらいましたが、そんなわけですぐには載せられません。いずれ載せるかもしれませんが、この場を使ってお詫びしておきます。

【後日談 4月17日記】
 もっと早く写真を載せるつもりだったんですが、FTPソフトのバージョンアップでトラブってしまいました。ようやく載せられます。
   990410-1
 左はわれらがホープ、山田隆昭氏です。右の女性のお名前は存じあげません。

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 左から、元詩人クラブ会長の西岡光秋氏、木津川夫人、木津川昭夫氏、詩人クラブ理事長の鈴木敏幸氏。

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 贈呈式風景。150名ほど集まって大盛会でした。贈呈の瞬間なども撮りましたが、月並みなので載せません。どうしても女性を中心に撮ってしまうのは、男として当然です(^^;



  
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