きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
   mongara kawahagi
      
新井克彦画「モンガラカワハギ」


1999.4.24(土)

 きのうは小学校PTAの総会でした。ひとり娘が3月に卒業していますので、もう出席する意味はありません。しかし、議長をやってくれという依頼もあったし、一年間一緒に活動した人たちへの感謝の気持ちもあって出席しました。総会のあとの懇親会も楽しみでしたしね。
 議事は意見も質問もなく、スンナリと本部案通りに可決しました。いろいろな場面で議長をやってきましたが、議長という立場になるとこの「スンナリ」というのが一番ですね。外野にいる時はもちろん、もめた方がおもしろいけど(^^;
 懇親会では、熊本出身の先生が持ち込んだ清酒「美少年」があって大満足でした。しかし意外に体調が悪いのに気付き、二次会の途中で帰ってきました。議事が無事に済んだということと、一年間の緊張から開放された気の緩みかもしれません。

 そして、きょう。『山脈』の同人会でしたから、会社の駐車場に車を置いて電車に乗り込みました。しかし、途中からどうもおかしい。冷や汗は出るし眩暈もする。途中下車して帰宅してしまいました。筧主幹には電話で連絡して、欠席にさせてもらいました。
 こんなことが年に一度の割合であります。原因はよくわかりません。昨夜の酒もほどほどでした。それが原因ではないと思います。何度か経験していますから、そんな状態で無理をして出席しても碌なことはない、と判断しました。それにしても、『山脈』の二代目を宣言されてからのこの10年間、知人の結婚式以外は無欠席だったのに、とうとう休んでしまいました。これからもこんなことがあるのかなあ。だんだん無理ができない身体になっていくようで、ちょっとガッカリです。

 ひと眠りして、横浜−巨人戦を見て、これを書いています。サヨナラ負けして、こちらもガックリ。5連敗だもんなあ。「今福」に集まった同人たちもガッカリしているだろうな、と思うと滅入ります。
 こんなときは、直良三樹子さんに元気づけてもらいましょう。


直良三樹子氏著『見果てぬ夢「明石原人」』
   akashi genjin
  1999.3.25 角川文庫 780円

 「考古学者 直良信夫の生涯」と副題がついていることからもお判りのように、直良三樹子さんは、あの明石原人の発見者、直良信夫博士のご長女です。直良さんとは数年前に筧さんから紹介されて以来のおつき合いです。直良さんがお入りになっている日本ペンクラブに私も昨年入れてもらい、それからは一緒に呑む機会も増えました。
 そんな折、1995年に時事通信社からお出しになった同名の単行本が角川文庫で出ると聞きました。発売直後に生協に注文しました。数日して返ってきた生協の答えは「出版元にすでに在庫がありません」でした。驚きました。売れてるんですね。
 3月25日の発売ですから、生協に注文したのは3月末だと思います。発売前に注文すれば良かったんですが、ちょっと出遅れてしまいました。しょうがないんで直接、直良さんに葉書を出して事情を説明し、売ってくれるようにお願いしました。そしてすぐに届いたのがこの本です。
 しかも「贈呈」になっていて、著者署名入り。さらに注文したことへの礼状付き。うーん、困った。売ってほしいとお願いして、贈呈されたらどうしたらいいんでしょうか。お金を送るのも失礼なことのように思います。ここは素直にご好意に甘えることにします。この場を使って、直良さん、ありがとうございました。今度ご一緒に呑むときはお酒をどんどんお注ぎします。

 さて前置きが長くなりました。本のご紹介です。ひとくちでは言えないんですが、感動しました。学校の教科書でも教わっている「明石原人」の発見のいきさつ、戦前の東大、京大の学閥争いに巻き込まれた形の直良博士。博士を支える夫人、厳格に育てられた三樹子さんご姉弟、などなど思わず胸が熱くなる場面が出てきます。それらは娘という立場で書いていますから、下手な書き方をするとシラケてくるのが一般的です。しかし、ここにはまったくそれはありません。直良さんの筆力が、抑えるところはきちんと抑えて、ノンフィクションの何たるかをも教えてくれます。
 もちろん直良博士を中心に描かれていますが、直良一族の歴史であり、日本の考古学の歴史でもあります。学者としての学歴も問題提起され、学閥とは何かも考えさせられます。小説として読んでもこれほど面白いものはなかなかありません。松本清張が直良博士を主人公にした小説を発表しています。それも頷けます。私にとっては、今年読んだ本のトップに位置しますね。

 あまり内容を書いちゃうと営業面でも差し障りがあるでしょうからこの辺にします。是非読んでみてください。おそらく第2版がすぐに出るのではないでしょうか。時事通信社の単行本はまだ残っている可能性もありますから、早く読んでみたいという方はそちらに注文するのもいいでしょう。最悪の場合は私が直良さんとの仲介に当りますから、
pfg03405@nifty.ne.jp までメールください。ただしこれは直良さんの了解を得ていません。そこはご承知おきください。
 直良博士の真摯な生き方に感動して、この頁のタイトル写真も変えてしまいました。バニーガールが出てくる写真なんて、直良博士をご紹介するのにふさわしくありませんからね。新井克彦さんからいただいている何枚かの絵葉書のうちの一枚を使いました。これなら直良博士にも顔向けできると思います。



 
   [ トップページ ]  [ 4月の部屋へ戻る ]