きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
murasame mongara
新井克彦画「ムラサメモンガラ」




1999.6.24(木)

 きょうの横浜−阪神戦については、あまり書く気がありません。メイを誉めるべきなんでしょうかね。斉藤隆がやられるとは。まったくきのうの逆で、阪神ファンの喜びようが眼に浮かびます。あーあ、借金を返すのは大変なんだなあ。

 昨夜は、日本ペンクラブ電子メディア対応研究会の秦恒平座長からメールが来て、相当悩みました。メールの内容は、柳美里氏のプライバシー侵害判決をどう思うか、とのこと。この設問は本当に悩みました。
 結論は、判決に賛成だ、と書きました。基本的には柳さんの作品を読んでいないので、評する資格がありません。マスコミの報道だけを判断材料にした、という前提です。
 時代が違ってきたのだと思います。明治・大正ならば、エライ作家先生が書いたことだから、で済んだかもしれません。しかし主権在民の立場で考えれば、作家にもモデルにもプライバシーの尊重義務は生じます。モノ書きはそれを前提に書かなければならないと考えます。それをうまく書くのがモノ書きの技量だと思います。
 柳さんは判決を受けて、日本の私小説の伝統が踏みにじられると発言していますが、私はそれは受けて立つべきだと考えます。従来の私小説にあまねることなく、今回の判決をバネにして新しい書き方を考えてもいいのではないか、と思うのです。

 そんな返信をしたので、実は秦さんの反応が気になっていました。折り返しのメールでは、私の意見にほぼ賛成、と受け止めました。正直、ホッとしています。秦さんという人は文学的にも人間としても尊敬しています。その人から、お前の考えはおかしい、とやられたら辛いなと思っていました。この問題は、そんな私情は関係ないんですが、私も生身の人間ですから、気になることだけは書いておきます。
 この件で日本ペンクラブがどういう対応をするのか、今のところ判りません。人権養護の立場から、あるいは私の考えと違う結論になるかもしれません。そうなったらそうなったで、もう一度よく考えてみたいと思っています。


詩誌『回転木馬』106号
   kaitenmokuba 106
  千葉市花見川区 鈴木俊氏 発行

 エッセイですが、石橋一郎氏の「息子の講演会」に感激しました。石橋さんのご子息は知的障害のある人のようで、養護学校の卒業生です。その彼が母校のPTAの集まりで講演した模様をお書きになっています。会社でどんな仕事をしているか、というのが講演の内容で、石橋さんもお聞きになったそうです。ご子息がきちんとスピーチをして、その後の質問にも的確に答えたそうで、親御さんの感動が私にも伝わってきました。
 講演と一口に言いますが、結構難しいものです。こんな私でも何度か講演らしきものをしたことがあります。一番難しいのは聴衆の反応をいかにタイムリーに汲み取るかだと思います。それをご子息は無心にこなしたようで、石橋さんの喜びが判る気がします。それが私にも伝わってきて、言いようのない温かい気持ちに包まれました。

 指輪/小笹いずみ

仕事の都合で
指輪を外す事が多くなり
いつの間にか
薬指から消えていた
数十年の束縛から解(ほぐ)された
白い跡が眩しい

 これはキツイ作品ですね。悪意はないと思いますが「数十年の束縛から解された」というフレーズにはドキッとさせられます。結局、女性にとって男とは束縛する対象なのでしょうか? そういう見方をされてしまった、ということに世の男どもは耳を傾けるべきなのでしょうね。



 
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