きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
murasame mongara
新井克彦画「ムラサメモンガラ」




1999.6.28(月)

 朝7時ころ、うちの犬がやけに吠えるので外を見ると、白いライトバンが止まっていました。「ははん、メール便だな」と、すぐに判りました。最近、メール便がこんな時間にくるのが多いんです。それに筧さんが本を送ってくれていたのを知っていましたから、それだろうと見当をつけて郵便受けに行くと、はたして入っていました。


筧槇二氏著『おーい ポポよ』
   ooi popo yo
  1999.6.20 山脈文庫刊 2000円

 著者の筧槇二さんは前日本詩人クラブ会長、なにより我が『山脈』の主幹です。大の犬キチであります。この本の主人公「ポポ」とも私は16年ほどのつき合いになります。
 パグのポポがペットショップから筧家に来て、11年の闘病生活ののちに、昨年3月に亡くなるまでの18年間が、240頁の中に語られています。筧さんと奥さん、故人になったおばあさんとの間で、いかにポポは過ごしたか、いかに家族は絆を深めていったか。ポポを通じての詩人たちや近所との関わり、犬キチの集まり「ヒョウの会」の仲間たちとの友情が語られていて、筧文学の基本をある意味では成すものだと、私は見ています。

 *「ヒョウ」は漢字で、犬を三つ書きます。現在のパソコンでは表現できません。6/16で紹介した文字鏡委員会の『パソコン悠悠漢字術』では可能なはずです。まだ試していません。

 なまじポポを知っているだけに、目頭が熱くなるのを抑えながら読みました。犬も人間も年をとるということはいかに辛いことか。辛いけど生きたい、生きなければならないということはどういうことなのか、などということを考えさせられました。
 それにしても、6/26に紹介した横浜・野毛「今福」のコン太と言い、ポポと言い、いい飼い主に恵まれた犬は本当に幸せだと思います。あすは我が犬、あすは我が身です。ここで語られたポポの闘病記は、いずれ参考にせざるを得なくなると思っています。筧さんのお宅におじゃまするたびに見ていた酸素ボンベは、今だに脳裏に焼き付いています。そこまで覚悟して犬は飼うものだと思います。
 仕事を早々に放り出して、帰宅して一気に読みました。他に紹介しなければならない本もありますが、きょうはやめます。ポポの思い出を新たにして、ひとり盃を傾けて献杯します。合掌。



 
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