きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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ベニス'99夏




1999.9.3(金)

 日本詩人クラブの第4回定例理事会を行いました。詳細は10/31発行予定の広報『詩界』234号に載りますから、会員・会友の方はそちらをご覧になってください、、、って言うと身も蓋もないから(^^;; 少しは情報を。
 日本詩人クラブ50周年記念特別展というのが来年7月29日から8月27日にかけて、岩手県北上市の「日本現代詩歌文学館」で開かれます。日本詩人クラブの発展に多大な功績のあった西條八十、人見東明、堀口大学、金子光晴、高村光太郎、西脇順三郎など日本の代表的詩人、約100名の展示がメインです。
 まあ、来年の話ですけど、今から夏休みの予定に入れておいてはいかがでしょうか。私も一度「日本現代詩歌文学館」には行ったことがありますが、落ち着いたいい文学館です。北上市もいい所ですよ。


鬼の会会報『鬼』328号
   oni 328
  奈良県奈良市 中村光行氏 発行

 「鬼のしきたり」というシリーズ物がありますが、今回は第17回です。そこにこんなおもしろいことが書いてありました。

 鬼神のこと
 角が生え、口が裂け、牙を持ち、虎皮の褌をする鬼。怪物視しながら、親しみも感じさせる。鬼の田、鬼の足跡などの窪地では、鬼に酒肴を馳走した礼に薪や、獣皮を貰う挿話も多い。大分の大蔵家、吉野の後鬼家と鬼の後裔を称する家もある。鬼の漢字で陰陽道に影響されたり、仏教に登場する羅刹と混同され悪鬼になる前は、神の化身と考えられた。
 門松を鬼木、ドンドを鬼火と申す所もある。

 「鬼の後裔を称する家」ってあるんですね。鬼頭さんなんて苗字もあるから、そちらも同じですかね。悪者になっている鬼の字を冠するというのがちょっと判らなかったんですが、「神の化身」なら納得です。「悪人」が昔は「強い人」だったそうで、言葉の変遷を考えるとおもしろいものだなあと思います。


詩誌『岩礁』100号
   gansyo 100
  静岡県三島市 大井康暢氏 発行

 仇討/谷 流水

別に
求めてもいないのに
ある日ある休日
茶の間で寛いでいたら
むっくりいきりたつもの
押さえようとすればするほど
そこに神経が集中して
いきりたつもの

そのまま立ち上がれば
ズボンの膨らみで
はっきり分かってしまう
元気印であると
五十七歳にもなって
威張る訳にもいかない
妻に見つかれば
ろくに努めも果たせないのに否な人ねと
厭味のひとつも言われかねない
おさまりのつかないものを
宥めるようにそっと押さえて
小さくなあれ
そう言い聞かしても聞こうとしない

僕のなかに潜んでいる
僕の理性と別の
空おそろしい
危険極まりない性という生き物
目の前に絶世の美女が現れたら
僕の抑制は利かない

その時
真面目な顔をして何考えてるの−
妻のあかるい声
みるみる元へもどる一物
大切なものを
奪い去った
妻の不意打

その夜
僕は
その仇討を
見事に果した

 あはは、と思わず笑ってしまいました。失礼。しかし、それにしても男だったら判りますよね。こんな経験は誰にでもあって、「妻のあかるい声/みるみる元へもどる一物」なんて、腹を押さえて笑い転げてしまいました。いいなあ、こういう作品。
 タイトルのつけ方も、終連も最高の出来ですね。

 今号は100号記念ということで、「詩はいかにあるべきか」と「岩礁と私」という2つの特集を組んでいます。それぞれに『岩礁』への思い入れがあって、興味深く拝見しました。
 評論で木村哲也氏が「詩の資料収集について」をお書きになっています。そこで「榛名まほろば」についてかなりの頁を使って書いていて、いい視点をお持ちになっていると感じました。富沢智さんへの暖かい視線と、資料館としての「榛名まほろば」には冷静な眼を持っていて、読む者を納得させます。



 
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