きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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ベニス'99夏




1999.9.8(水)

 うーむ、横浜2連敗。対巨人戦でせめて1勝はするかと思ったら、駄目でした。優勝とは言わないけど、せめて巨人を追いぬいて2位になってほしいと思っています。しかし難しいなあ。気落ちしています。こんな日は、家人は誰も近寄ってきません(^^;


小野田潮氏詩集『源流へ』
   genryu e
  岡山県岡山市
アルル書店発行 1000円+税

 

たとえば
タカハシのおばさんの指がすきだ
もう三十年も電動ミシンをつかって
マットを縫ってきた指だ
電動ミシンは時計まわりに動かすので
ぬいしろをあわせる
左人差し指はとくに力がはいるのか
指先が異常なほど肥大している
それに
小さな水槽で
おなじ方向に廻っておよぐ鯉のからだが
彎曲するように
やや内側に曲がっている

摩擦によって
石や鉄ならくぼんでしまうところ
肉体はますますかたく太っていくんだ
大きな発見でもしたように
すこし感動して
ぼくは気付かないふりをしては
タカハシのおばさんのひだり手を
そっと見る

 小野田さんの作品の中では珍しい部類に入ると思います。哲学的な作風と私は密かに呼んでいますが、これは異質です。もちろんこの中にも哲学的要素はありますが、それが表に出ていない。おやっ、と思って取り上げた次第です。
 それにしてもたったこれだけの言葉の中に「タカハシのおばさん」がよく書けていますね。おばさんの普段の生活から顔つきまでパアーっと目の前に広がるようです。おそらく鯉の話で納得して、想像するんでしょうね。こんな詩人に「そっと見」られたおばさんは、幸せな人だと思います。


沼津の文化を語る会会報『沼声』231号
   syosei 231
  静岡県沼津市 望月良夫氏 発行

 「聲論」というコラムがあり、ここはいつも楽しみに読んでいます。今回もなるほどと思いました。

 今日がよければ、明日なんかどうでもよいという心の貧しい人々は金のばらまき大歓迎で、政府の支持率も増加する。
  (宮内邦男氏「入るを量りて出ずるを為す」部分)

 現在のばらまき行政への批判です。ここで私が注目したのは、政府の支持率が増加する、という下り。なるほど「心の貧しい人々」が多いのか。
 以前から不思議に思っていたんです。不景気になって、リストラで苦しめられている人も多いというのに、なぜ政府の支持率が上がるんだろうと。どこかでばらまき行政の恩恵に与かっている人がいるんですね。あるいは与かるだろうと期待している人たちが…。
 それを宮内さんは「心の貧しい人々」と一刀両断のもとに切り捨てています。そこがとても小気味いい。そして、日本人はそういう人が多いのかと、ふと淋しくなります。まあ、子供のために地域振興券をもらった私としては、あまり強いことは言えませんが…。



 
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