きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
ベニス'99夏 |
1999.9.12(日)
中学校の運動会に行ってきました。正確には「小・中学校合同運動会」と言います。全校生徒で小学生が90名ほど、中学生が40名ほどしかいませんから、単独開催は難しいので合同≠ネんです。
私の住んでいる地域は市街化調整区域になっています。従って新しい家がほとんど建ちません。もともと300戸くらいの地域です。合同≠烽ワあ、当然でしょうね。
ちょっと見難いんですが、これは玉入れをやっているところです。籠は一本の棒に上下2つ付いています。上が中学生用、下が小学生用!こんな玉入れはなかなかお目にかかれないでしょうなあ。
男女含めた中学生全員による「竹取物語」と称するゲーム。要するに二手に分かれチームで竹の棒を奪い合うというもの。見ている方が結構力んでしまいます。
中学生の騎馬戦もあります。男女一緒です。小学生は組みたて体操もあって、都会では危険ということで禁止なっているようですが、ここでは関係ありません。そんなことを言う親もいないようです。私?当然、大賛成です。
と、まあ、ビールも呑まずに過した一日も暮れて、本日の詩集紹介。
○『山田今次全詩集』
1999.9.10 思潮社刊 7000円+税
昨年10月に亡くなった、私が最も敬愛した詩人、山田今次さんの全詩集が出ました。生涯の7冊の詩集、未刊詩篇、散文、年譜が収められています。山田今次研究には無くてはならないものです。
市販されていますので、詳しくは触れません。ちょっと高い本ですが、現代詩の足跡を知る上でも一読の価値はあります。私もこの詩集は買いました。思潮社からお求めになっても結構ですが、ご希望の方には山田夫人からの購入を仲介します。
pfg03405@nifty.ne.jp までどうぞ。
○個人詩誌『思い川』6号
埼玉県鳩ケ谷市 桜庭英子氏 発行
風の空/桜庭英子
男鹿半島のうえを
鳥になって飛んだ
標高三五五メートルの
いちめん緑の芝生に覆われた寒風山から
生まれてはじめて乗ったパラグライダーの視界に
鳥海山の雄姿と
日本海がゆれながら迫ってくる
拮抗する地平に
意志のように貫かれている細い道を
人々が歩いてゆくのが小さく見える
きのうまで東京で
あれほど執着した愛憎も
すきとおったこの青い高さのなかでは
こんなにも脆くこわれやすいものだったのか
風に流されてすっかり消えてしまった
鳥になりたてホヤホヤの
わたしが飛んだ風の空は
オホーツク海高気圧にピカピカに磨かれて
まぎれもなく 未来へ青く光った道が
涯てしなく広がっていた
おそらくタンデムと呼ばれる二人乗りのパラグライダーを体験なさったのだと思います。「日本海がゆれながら迫ってくる」というフレーズで実際のパラを体験なさったなあ、と判ります。
パラもそうですが、スカイスポーツの魅力は4連にあります。飛んでいると下界のことなんか忘れてしまうんですね。つまらないことにクヨクヨしている自分を発見することができます。それをたった一度(だと思う)の体験で習得してしまうなんて、桜庭さんはすごい!
「オホーツク海高気圧にピカピカに磨かれて」というフレーズもいいですね。さすがは詩人の感性、うれしくなります。
○すえかわしげる氏詩集『ひとりあそび』
1999.10.1 編集工房ノア刊 2100円
曲り
風邪気味かのどが痛む
鏡に口をあけ覗く
のど仏の奥は奈落の底のように深く
何も見えない吾身でありながら
死もまた同じように
妻に先立たれ
心にぽっかり空いた穴
そこから見えなかった向こうが見える
----なんだ 地つづきだったのか
果てしなくつづく大地に
花が咲き鳥や虫が飛び風が吹く
ありのままの大自然だ
誰だ!
死は怖いとおどしそそのかした奴は
これはすごい作品ですね。終連に驚きました。これは諦念ではなく達観と呼ぶべきものでしょう。タイトルのつけ方もうまいし、すえかわさんという詩人のお名前は存じ上げていましたが、こういう詩を書く方とは知りませんでした。
亡くなったご両親や奥様への作品が多く、そこにあたたかい視線を感じます。そうして一番最後の詩が、この「曲り」です。構成もうまくいってるなあ、と思いました。もう40年以上も詩を書き続けていらっしゃるようで、大先輩の詩集に勉強させられるところが多々ありました。
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