きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.1.3(月)
年賀状を書き終えて、注文原稿の4枚を書いて、ほっとしています。注文原稿、というほどのことはありませんね、作文です。設備トラブルに関するものを書け、と会社からの指示。断わったけど、ペンネームでなく本名で書くんだから、まあいいかぁ、と変な納得のし方をしてしまいました。でも、本文原稿用紙4枚というのには驚きました。そんな少しでは書けませんよ、20枚くらい書いてもいい? と聞いたけど、返事は、駄目。
100枚書けと言われれば、さすがに身構えけど、4枚じゃ、どうやってまとめるか考え込んじゃいましたよ。でもまあ、なんとかまとめて、これで冬休みの宿題は終りです。モノ書いてるって自負してるわけですから、4枚ぴったり、一行の過不足もなく仕上げましたゾ。問題は中身だな。これはHPに公表することではないから、良く書けたと公言しておきます(^^;;
○個人詩誌『POETICA』22号 |
1999.12.20 東京都豊島区 中島登氏発行 500円 |
遅れてきた花嫁/堤
恭一
石段の前からタクシーが失せると
ウエディグドレスの花嫁が立っている
風にヴェールをほかし
リボンで髪を束ね
素肌に白映え
石段を踏んでゆく
登りきると
青空に氷壁が屹立している
日向ぼっこの犬が顔を上げる
可憐な喉が息をのむ
手のひらで目尻なでつけ
少女のうなじ反らし
逆光を意識し
半開きの扉に歩いてゆく
高架がゴーゴー鳴り響き
都会は壮大なガスバーナー
おもしろい言葉だなぁと思ったのが「失せる」と「ほかし」です。「失せる」は聞くことはあっても文字として見るのはあまりないだろうと思います。「ほかし」に至っては方言かと思っていました。でも辞書にはちゃんとありました。れっきとした日本語です。
場面設定もおもしろいですね。遅れてきた花嫁がたったひとりでタクシーから降り、教会の階段を昇っていくというのは、映画の一シーンみたいで、臨場感があります。犬が出てくるところや「手のひらで目尻なでつけ」る場面など、まさに映画的と言ってもいいでしょう。そして「都会は壮大なガスバーナー」。そうして1時間も過ぎれば式は無事に済んで…。
作者の視点の妙に惹かれて作品でした。
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