きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.1.10(月)
『詩と思想』の新年会が六本木でありました。昨年も行きましたが、今年は連載も担当させてもらいますので、何がなんでも、というつもりで行ってみました。70名ほど集まって盛会でしたよ。しかし社主の加藤幾恵さんはご病気とかで欠席、残念。加藤さんともしばらく呑んでいないので、楽しみにしていたんですけどね。まあ、病気を治す方が先。早く良くなってください。
挨拶しているのは私です |
私も挨拶しろ、とのことでしたので僭越ながら…。小海さんのお顔も見えますが、久しぶりの出席だそうです。そういえば昨年はお見えになっていなかったですね。お元気そうでした。
しかし、それにしてもメンバーが違うなあ。詩人クラブですと8割くらいの人は判りますが、ここでは5割くらいですね。現代詩人会の詩祭などにたまに行くと、3割。狭いようでも広い詩人の世界です。
○李承淳氏詩集『過ぎた月日を脱ぎ棄て』 |
1997.12.23初版 1999.7.20第三版 東京都東村山市 書肆青樹社刊 1600円+税 |
日英対訳の詩集です。秋谷豊さんの跋にも英訳がついている徹底ぶりです。もちろん日本語の方を拝見しました(^^;;
ホームページでは縦書きの詩も横書きに直して転載していますが、この詩集は正真正銘横書きです。英訳するからその方がいいんですね。以前なら横書きの詩は違和感がありましたが、最近はまったく気にならなくなりました。それがいいか悪いかは、ちょっと措いておきます。
鯛の断想
ある日 眼をあけると
私の体は網にかかり
宙にぶらさがり
料理屋のまな板の上にのせられていた
----研ぎ澄まされた包丁を持つ板前が
頭を手拭いでぎゅっとしばり
スッスッと
私の体を刻み落としている----
確かに眼はポカンと開いているが
身は削がれて骨ばかりになり
皿の上に載せられて
血は一滴もなく
一切れ一切れ
私の身は
客たちの
開いた口の中で
すばやく噛み砕かれる
そんなとき
残された眼はカッと見開き
彼らの残忍な口の中に運ばれる私の身を
じっと見ている
怖い作品ですね。娘が小さい頃、魚を食べるのが嫌いでした。理由を尋ねると、目が怖いと言っていました。この作品の「鯛」を見ていたのかもしれません。
吉村昭さんの小説「少女架刑」も思い出しました。解剖にふされる16歳の少女が、霊となって自分の体を見ている、という作品です。李さんの作品も含めて、残酷と言えば残酷なんですが、生物の、あるいは人間の一面を見せつけられたようで、考えさせられます。
業と言ってしまえばそれまでですが、李さんの作品はその業に真正
面から取り組んでいるものが多く、好感を持ちます。亡くなったご主人をお書きになった作品といい、幅の広い人間性を感じました。
○CD現代歌曲の夕べ 『詩人−李承淳との出会い』 東京オペラシティリサイタルホールライブ |
'98.7.21 東芝EMI 3000円 |
前出の詩集と同時に、このCDもいただきました。韓国語のオペラですから、意味が判らないなぁ、と思っていましたが、こちらもちゃんと日英対訳。しかも詩集に収められた作品もあります。CDを聞きながら詩集を拝見するという、優雅な形になりました。李さんは歌っていないので、残念。おっ、そうだ!『詩と思想』の新年会で李さんが歌ってから帰れ、と李さんに言われたんですけど、時間がなくて帰ってしまった! ごめんなさい。
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