きょうはこんな日でしたごまめのはぎしり
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新井克彦画「アカククリ」




2000.1.15(土)

 この頁の顔として新井克彦さんの絵を何枚か使わせてもらっていますが、新たな絵が届きましたので、さっそく使ってみました。「アカククリ」というタイトルで良いと思います。「アカクワリ」とも読めそうですが「赤色で括られた魚」という意味でしょう。国語辞典にはありませんでした。魚類の辞典で調べないとダメでしょうね。残念なが手元にありません。

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 和田文雄さんの詩集『村』の出版記念会が銀座でありました。昨年詩集をいただいていて、いい詩集でしたので行ってみたいと思っていました。出版記念会というのは、だいたいが義理がらみが多いのですが、今回はそうではなく、純粋に「行ってみたい」と思ったまれなケースです。義理は否定していませんので、念のため。それも大事だと思っています。

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「銀座芙蓉クラブ」にて

 60名ほどの会で、落ち着いたいい会でした。詩人が集まったときに起きる、司会者の話を聞いていない、という現象(^^;; が今回はまったくありませんでした。なぜなんだろう、と考えたら会場に起因することに辿りつきました。通常は立食ですから、あちらこちらに移動しながら話し合い、飲み食いするんですね。椅子が人数分確保されていないのが一般的ですから、それも致し方ないこと。
 でも今回の「芙蓉クラブ」は人数分の椅子とテーブルがあります。食べ物は中央のテーブルにあるので取りに行かなければなりませんが、そのあとは自分の椅子に戻って、食事をしながらじっくり司会者、スピーチをする人の話に耳を傾けることができる、という訳です。人数もそれほど多くなくて、食事の時間を40分も取る、という主催者側の配慮が奏効したこともありますね。上の写真を見ていただければ、会場の真面目な様子がお判りいただけると思います。
 いずれしろ、主催者側に回る場合が多い私としては、参考になりました。
 そんなこともあって、出版記念会はいい会になりました。やはりスピーチをしている人の話を聞くというのは、最低の条件だし、会の良し悪しを印象づけるものだと思いましたね。和田文雄さんにまつわるお話もいろいろ聞けて、私には収穫のある会になりました。


詩誌『人間』133号
ningen 133
1999.12.1 奈良県奈良市
中村光行氏発行 1500円

 中村光行さんと笠井忠文さんの対談「有名・無名について」が面白いです。勲章についてから対談を始めて、詩人賞なども論考しています。その中にこんな下りがありました。

 笠井 いまタテの線に権威ある有名人がいて、当人もその権威を目指して努力する。そして自分自身が、その位置の椅子に到達すると、こんどは新しい権威の有名人に自分がなり上がるのです。上を向いて階段を昇るわけですから、向上心に違いないかも知れませんがね。(笑い)
 中村 向上心は儒教です。いかに、巧みに生きるかの手ほどきですよ。うまく生活をこなす手引きで、哲学ではないです。猿に似てませんか。猿は、木の実を食べるのみです。生産とは無縁でしょう。牛は牛乳、牛肉を供給し、羊は毛を提供する。しかし猿は採取のみ。これが儒教的処世ですよ。

 「向上心は儒教」とは知りませんでした。儒教の何たるかを理解していなければ軽々しく書けませんが、向上心としいうのは持って生まれた人間の特質かと思っていました。いかに儒教が我々の生活に入っているか、の見本のような発言ですね。
 ですから、向上心というものは手放しで歓迎すべきもの、と思い込んでいました。この中村さんの発言に接すると、ちょっと待てよという気になります。迂闊に自分で思い込む怖さですね。日常のちょっとしたことでも深く考えて、底に何があるのかまで洞察しないといけない、と教えられた一文です。


鬼の会会報『鬼』332号
oni 332
2000.1.1 奈良県奈良市
中村光行氏発行 非売品

 どうも酒呑みという者は酒の話に目がいくようで、今号も真っ先に目に留まりました。

 左党
 左党、飲み助の表現だ。ムカシから酒飲みを左利きとか、左党という。ひとり酒は手酌になる。そして、右利きなら徳利を右手に、猪口を左手に持って酒を注ぐ。これから飲むとき、左手を用いる人を左党と呼ぶようになった。異説がある。大工は右手に槌を、左手に鑿を持つ。それゆえ、左手を鑿手(飲み手)とかけ、酒飲みを左党と称するのだ。どちらの説が正しいかは、判然とせず分からぬ。

 前者は私も知っていました。しかし「異説」は知りませんでした。これは面白い。私としては後者を採りたいですね。日本語の掛詞の面白みがあって、いいなぁと思います。前者は直接的で即物的ですからね。後者の方が一ひねりあって奥が深い。
 左党というのはいつ頃から使われた表現か判りませんが、日本人らしい表現だと思います。今から40年以上前の子供の頃、隣に呑み屋があって、そこで左党という言葉を使っていた記憶があります。意味を教わって、面白い言葉だなぁと思ったものです。それが今では自他ともに認める左党になったとは! 感無量です(^^;;



 
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