きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「茄子」 |
2000.10.29(日)
日本詩人クラブの三賞選考委員会がありました。日本詩人クラブ賞が34回目、日本詩人クラブ新人賞が11回目、そして新設の日本詩人クラブ詩界賞が記念すべき第1回です。詩界賞とは評論に対する顕彰です。日本では評論部門への顕彰が少ないことから、創立50周年を記念して設けられました。
選考委員名は詩人クラブのHPの中で「会員・会友の皆さまへ」というコーナーにアップしておきましたので、興味のある方、必要な方はそちらをご覧になってください。
で、私の役割は新人賞の選考委員です。1998年度に一度やっていますから、様子はだいたい判ります。しかし、今回は経験があるし理事なんだから事務局もやれとのこと。事務局長の中原道夫さんとは総務理事としてご一緒だし、他の事務局員はクラブ賞の保坂登志子さん、詩界賞の中村不二夫さんとも懇意にしていただいていますから、人選の不安もなく、引き受けました。仕事は要するに裏方ですから、まあ、適材適所でしょう。活動は逐一このHPでも報告していきます。
それはそれとして、創立50周年で思い出しましたが、当日、何冊か本をいただいていたんですね。机の上を片づけていたら出てきました。遅れ馳せながら紹介します。せっかくいただいたのにお礼が遅くなってすみません。
○日本詩人クラブ編『日蘭詩集』 日本詩人クラブ創立50周年・日蘭文化交流四〇〇年記念 |
2000.10.14 東京都板橋区 椛メ望社制作 非売品 |
会場で配布された日蘭対訳詩集です。オランダ側の詩は日本語に、日本側は英語になっています。日本側は詩人クラブ創立会員の川路柳虹、西條八十、佐藤春夫、堀口大学、高橋新吉、安部宙之介の作品が載っています。オランダ側は現役の5名の作品です。引き出物と言ってはナンですが、いい記念誌になりました。
裏話をひとつ。この本は詩人クラブの理事会で発行しようとしたものではなく、椛メ望社の提供です。「いつも詩人クラブにはお世話になっていますので、こんな形でご協力したい」という申し出でした。理事会全員一致で、ありがたく受けることになったものです。この場を使って、改めて椛メ望社様にはお礼申し上げます。
○詩誌『詩季』83号 |
2000.7.30
滋賀県大津市 荒川清彦氏発行 800円 |
指/三木 智
おもえば長いつきあいだった
傷つき硬直し死んでしまったような指
銃口の下で 何度も引き金に絡み
弾丸を発射しつづけた食指
箸 ベルト ネクタイ
それに愛の夜の不自然さまで演出した
むろん忠の字にこだわったからではない
五十数年たった秋の夜
とつぜん老いのせいでもなく
指さきが痺れ
箸をとりおとしてしまった
深夜まで
遠くから
あの日の銃声がきこえて来た日
銃を触ったことも撃ったこともない、ましてや戦争とは言え人間に銃口を向けたこともない私からすれば、理解できない感覚です。「五十数年たった秋の夜」にでも、その感覚を思い出しているわけですから、相当、身体に刻みつけられた感覚でしょうね。それが銃の、戦争の力なんだろうと想像しています。
お歳はおそらく私の父親ぐらいでしょうが、こういう作品を発表なさることは大事なことだと思っています。敗戦から50年も経ったのに、という意見もあるようですが、私はそうは思いません。戦争については本でも読みますが、体験者の話や作品が必要です。特にこういう具体的な作品に触れると、より強く戦争を理解することができます。戦争体験者である詩人の仕事であると思います。そういう意味でも、この個人的な指≠素材とした作品は、私に当時経験なさったであろう臨場感を与えてくれました。
○画文集『田口雅巳の しょうなん素描 その二』 |
2000.10.11 神奈川県藤沢市 江ノ電沿線新聞社編 1300円 |
湘南を中心に活動している画家・田口雅巳さんの画文集です。毎年、藤沢小田急画廊で開いている個展が20回になったのを記念しての出版です。1950年頃からのスケッチも載っていて、歴史的にも貴重なものだと思います。江ノ電を中心にした作品が多く、夏は材木座海岸にヨットをやりに行く私も目にしている光景が多く、身近に感じますね。それにしても絵というものは一目で判って、いいものですね。
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