きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.2.1(火)
日本詩人クラブ新人賞選考委員会から、昨年出した私の詩集『特別な朝』が候補として推薦されたけど、賞の贈呈が決まったら受けるか否か、という問い合わせがきました。「諾」と書きました。
実は先月から候補になったことは知っていました。私は同クラブの理事ですから、当然辞退すべきものと思っていました。その旨を師匠筋にお話ししましたところ、理事は受けても構わないと助言されてしまったのです。会長や理事長は賞を与える側ですから、候補辞退は当然なんですけど、理事はOKなんだそうです。
まあ、一等賞をとることはないでしょうから「諾」にしましたけど、候補に選んでもらったというのは、うれしいですね。賞については私も選考委員をやったことがありますから理解できるんですが、候補になれるかどうかが問題だと思います。選考に値するかどうかが大事で、賞そのものは運です。選考委員会のちょっとした雰囲気でガラリと変わります。敬意を表して、喜んで「諾」とさせてもらいました。
15年ほど前の芥川賞に同人雑誌推薦枠で推薦してもらったことがありました。あれもうれしかったですね。もちろん一次審査でハネられたんでしょうけど…。受かっていればなぁ、、、惜しかった(^^;;
○島田陽子氏詩集『かさなりあって』 |
1999.12.15 東京都中央区 大日本図書刊 1200円+税 |
ハガキ
ハガキを いれた
なんの音も しなかった
ポストを たたいてみた
暗い ポストの中を
舞(ま)い落ちていく ハガキ
さくらの 花びらのように
白い 雪のように
光りながら はらはらと
ポストの底で
ハガキは
ひっそりと 重なりあっているだろう
うれしい ことば
かなしい ことば ねむ
みんな重なりあって 眠っているだろう
詩集のタイトルと同じ作品はありません。おそらくこの作品がつけたタイトルだと想像します。こういうタイトルのつけ方というのは難しいのですが、詩集全体から考えるとよくできていると思います。少年・少女向けの詩集ですが、身を寄せ合ってぶつかりながら生活してい子どもたちを連想させます。
ポストは、私も不安なんです。冊子小包などはドサッと音がしますから判るんですけど、確かにハガキ一枚は不安ですね。本当に入ったんだろうか、途中で止まっていないだろうかと、ときどき口に手を入れてみたりします。中に金属のガードのようなものが入っていて、ヒヤリとしてあわてて手を引っ込めたりしますけど…。
「ハガキは/ひっそりと 重なりあっているだろう」と思いますね。郵便局の人が来るまで、暗い中で「みんな重なりあって 眠っている」んでしょうね。私の書いた文字が、意志が伝わるまでそうやっているのかと思うと、ちょっと哀れな気にもなります。
○沼津の文化を語る会会報『沼声』236号 |
2000.2.1 静岡県沼津市 望月良夫氏発行 購読料:5000円/年 |
「随筆春秋」というコーナーで宮治眞(名古屋市立大学医学部助教授)という方が「カウントダウン」というエッセイを書いています。例の2000年問題で暮に病院に詰めていた時の様子です。結局、ご承知のように何事もなかったんですが、担当者は大変だったようです。
午前0時。全員の顔が引きつる。除
夜の鐘とともに一線を越えた。腹に力
を入れるが、なにごとも起こらない。
拍子抜け。これがリスク・マネイジメ
ントのあるべき姿だ。 (「カウントダウン」部分)
この短い文章の中に、現場責任者の気持ちがよく表れていると思います。特に「これがリスク・マネイジメントのあるべき姿だ。」という所は、危機管理の真髄を表現していて、立場は違いますが同じような仕事をしている私には身につまされる言葉です。何事もなくて100点なんです。
2/29には同じ危機が訪れます。おそらく大きな問題は起きないと私は思っていますが、来てみなければわかりません。リスク・マネイジメントのあるべき姿、を追うことしかできませんね。
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