ょうはこんな日でしたごまめのはぎしり
murasame mongara
新井克彦画「ムラサメモンガラ」




2000.2.11(金)

 10日から筧さんご夫妻と一泊で奈良に行ってきました。奈良在住の鬼博士£村光行さんの招待です。10日は興福寺、東大寺を案内してもらいました。歴史に造詣の深い中村さんの説明付きですから、最高の見学です。中でも興福寺の阿修羅像は良かったですね。以前から拝観したいと思っていましたから、感激です。いいお顔です。しばらく見入っていました。
 11日はこの小旅行のメイン、三輪の今西酒造訪問です。銘酒「鬼ごのみ」の蔵元で、毎年この日に訪れていて、私はこれで3度目になります。

000211

 ちょっと画像が大きくてごめんなさい。琺瑯タンクの間で酒造りの説明を受けているところです。一番右が今西社長。まだお若い方です。観光酒蔵ではないので、雑然とした現場がお判りいただけると思います。真ん中に青い柄杓が見えますが、それでタンクから原酒を掬って試飲させてくれます。それが楽しみで毎年訪問しています。
 見学の後は今西夫人お手製の料理を味わいながらの酒宴になります。「鬼ごのみ」を始めとして今西酒造製品を次々に呑んで、至福の時間ですね。日本に生まれて良かった!(^^;;


鬼の会会報『鬼』334号
oni 334
2000.3.1 奈良県奈良市
中村光行氏発行 非売品

 前出の今西酒造訪問の際に中村さんからいただきました。こんな小文が載っていました。

 民俗学者の幻想
 師匠の柳田国男と弟子の折口信夫の仲は、良くなかった。ある日、意見の相違でぶつかり、喧嘩になった二人は口もきかなくなったのである。どちらも強情者だ。折口は多摩川の下流を散歩していたが、そのとき思ったものだ。上流から柳田の水死体が流れて来ないか、と思ったのである。そして、何時間も岸辺に立って待っていた。しかし、どんなに待っても、柳田国男の死体は流れて来なかった。

 思わずアハハと笑ってしまいました。折口信夫は変な人だったようですが、やっぱりね。その非論理性に脱帽です。そのくらいじゃないといい仕事はできないんでしょうか。
 笑ったあとにふと我が身を考えて、ゾッとしました。逆があるんです。いしとい女性がいた頃、街で何時間も立って、その女性が現れないかと思ったことがあったんですね。根は一緒だなと思いました。違うのは折口信夫ほどのいい仕事はしていないことです。(^^;;


詩誌『スポリア』6号  
suporia 6
2000.1.30 愛知県武豊町 坂口優子氏発行 非売品

 イメージ三行詩 <ある絵画から>

「線路」
 相手との平行線は 自分で変えるもの
 進路変更ポイントがチャンス
 逃さず転換できるのも運転手だけ (坂口優子

 右のレールは私です
 左のレールはあなたです
 このほどよい距離を もう少し続けましょうか (熊崎輝日古

 二つの三行詩を拝見して、逆転の発想を感じました。坂口さんの「転換できるのも運転手だけ」というフレーズに最初、おや?と思いました。ポイントを変えるのは運転手ではなく、ポイント手とでも言う人なのが現実のはずです。でも、この作品はそれも含めて全て「自分で変えるもの」であると訴えていることに、すぐ気づきました。平行線まで変えようという意思を表した作品なんですね。
 それに対して熊崎さんの作品は「このほどよい距離を もう少し続けましょうか」と言っています。普通、平行線とは例えば議論が平行線のままだ≠ニ言うようにあまり良い意味には使われていません。それを逆手にとって「このほどよい距離を」と表現することは、うまいこと考えるなあと思わせました。
 片や平行線を変えてしまおうという作品、片やこのままでもいいよという作品。それぞれの見方が違った作品を並べると、おもしろい効果がでることを教えてくれた三行詩でした。



 
   [ トップページ ]  [ 2月の部屋へ戻る ]