ょうはこんな日でしたごまめのはぎしり
murasame mongara
新井克彦画「ムラサメモンガラ」




2000.2.12(土)

 日本詩人クラブ2月例会・高橋渡会長を偲ぶ会に行ってきました。高橋会長と私が親しくお話しできるようになったのは、昨年の5月に理事会でお会いするようになってからです。私にとっては知らない面が多く、講演をなさった伊勢山峻、比留間一成両氏のお話でようやく全貌が判った次第です。特に比留間さんは高橋会長の基盤にあるのは「オスとしての規範」というような趣旨でお話しされていました。
 このことは良く理解できます。男女差別でも何でもなく、オスはオスとして果さなければならないことがあり、私もその原理で行動している部分があることを教えられました。

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    遺影を前にお孫さんと伊勢山峻氏

 お孫さんもおいでになり、高橋会長夫人からもメッセージが寄せられて、朗読されました。会長のご冥福をお祈りいたします。


詩誌『燦』1号
san 1
2000.2.16 埼玉県大宮市
二瓶徹氏発行 非売品

 当日、会場で二瓶さんよりいただきました。niftyの詩のフォーラムメンバーの参加を得て発行したようです。1号です。末永く続くことを祈ります。

 道端の雪は
 黒い溜息や重い足音を
  たっぷりと吸いこんで
 汚れ朽ちて行く自らの運命を
  静かに受け入れる (坂尻晃毅氏「都市の雪」第4連)

 「都市の雪」というタイトルとこの連がうまく合っていると思います。都市の雪はなぜ黒く汚くなるかという説明で、納得させられます。山間部の、人が立ち入らない場所の雪も黒くなるんでしょうが、色が違うだろうなと想像されます。人工的なものの汚れは黒、とイメージさせる奥深い作品ではないでしょうか。

 昨日の終わりと
 今日の始まりが
 握手しているよ   (野原ゆき氏「ありがとうの星」第1連)

 これもおもしろいイメージですね。時間は連続した概念ですが、人はそこに昨日やら今日やらという、また別の概念を持ち込みました。概念の中の概念ですから、抽象の最たるものだと私は思うのです。それを見事に結合させた作品で、なかなかいいものですね。頭の体操のようで、楽しみました。


個人誌『遊歩者(ふらぬーぬ)2号
furanunu 2
2000.2.12 栃木県宇都宮市 大谷武氏発行 非売品

 こちらも当日いただきました。例会の日を発行日としているニクイ個人誌です。

 

あれこれ考えた結果
あまり考えずに髭をのばすことにした
髭はのびる
奔放な方向を定め
髭はのびる
部屋いっぱいに膨れたおんなが
ジャブをだす
ジャブは次第にフックとなりフックは
ブローに
とうとう切り札が飛び出した
「馬鹿ジャナイ」
それでも髭はのび
のびる髭にしがみつく僕

責められながら味わうプリンに
生きている実感が宿っている

 この人の、こういうモノ言いというのはおかしいですね。思わず笑ってしまいました。「あれこれ考えた結果/あまり考えずに」というフレーズはよく判ります。結局、そんなもんなんですね。私のパターンと同じです。「馬鹿ジャナイ」と言われることもしばしば。「責められながら味わうプリン」なんて時間はもう無いけど、そんな女の人もいたなあ、となつかしく思い出しています。
 大谷さんは、ご自分の行動をお書きになったときが、一番いい書き方になっていると思います。きどらず、飾らず、卑下せず、それでいて生きていくことの悲しみが底辺にあって、楽しんで読む詩人の一人です。



 
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