きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.2.20(日)
直木三十五の墓前祭「南国忌」に初めて行ってみました。京浜急行「京急富岡」駅の近くの長昌寺というお寺でしたが、寒かった。雪も降るかという空模様。でも、いい会でした。早乙女貢さんの講演も聞けたし、住職と焼き鳥屋で酒も呑みました(^^;;
「海音寺潮五郎の人と作品」を語る早乙女貢氏 |
「海音寺潮五郎の人と作品」という演題でしたが、ご自身のライフワーク『会津士魂』にも触れ、私はそちらの方が面白かったですね。つい先日、文庫版の1〜13巻まで読み終わったところですから、なおさらです。単行本では19巻まで出ているようですから、文庫化を待ちきれず買っちゃうかもしれませんね。
「南国忌」の方は50名ほど集まったでしょうか、盛会でした。墓も作家らしい雰囲気で、親しめます。墓を見ながら、そういえば直木三十五の作品って、あまり読んでいないことに気づきました。これを縁に少し読んでおこうと思います。
○個人詩誌『粋青』20号 |
2000.2 大阪府岸和田市 後山光行氏発行 非売品 |
あとがきに電子版『粋青』も作ったよ、とありましたから、さっそく行ってみました。まだ1頁だけのようですが、1〜2ヶ月単位で発行したい、とありますのでどんどん追加されていくでしょう。
『粋青』は発行30部の限定版ですから、ご覧になれない方も多いはず。アクセスして雰囲気を楽しんではいかがでしょうか。URLは、 http://www.bea.hi-ho.ne.jp/atoyama/ です。
鈍行列車
ふと立ち止まる
風を巻きあげて小さな駅には停まらない列車が走る
時間や情報や様々なものが無機質な効率となって
私の存在の横を走り過ぎて行く
さあ
各駅停車よりもさらにゆっくりと人生の線路を進む
もしかしたら出会えるかも知れない
野で風が笑う世界に気付きながら再び歩きたいと思う
静かに歩きはじめる
そうなんですね、各駅停車しか停まらない駅というのは、どこか侘しいものがあります。しかし後山さんは、ここでは、いいと言っているんです。それよりも「さらにゆっくりと人生の線路を進む」と言っています。ああ、オレと同じだなあ、と思います。
後山さんと私はほとんど同年代で、高度成長期を支えたおひとりです。それが良かったのか悪かったのか、かならずしも成功だったとは言えないでしょう。そんな時にふと「さらにゆっくりと人生の線路を進」みたいと思うのは、われわれの世代だけでしょうか。先人も同じ思いだったのではなかろうかと想像しています。ゆっくりやりたいですね。
○詩誌『梢』22号 |
2000.2.20 東京都保谷市
山岡和範氏事務局 宮崎由紀氏発行 300円(送料160円) |
亀背になった母/北村愛子
おかあはんは蝦のように
背ごたをまるめて寝やはる
からだが二つ折りに
曲がってしまうやさかい
真っ直ぐ寝やはったほうが
よいのとちやうんかと言(ゆ)うたら
これがいちばん楽なんやさかい
かまわんとしてと言いやはる
印刷工場で
紙つなぎいう仕事をしやはって
二十一年間
前こごみでしんどかったなあ
亀背はその勲章なんや
一生懸命働きはったおかあはん
腰には負担がかからんよい寝かたやって
お医者はんが言わはったで
蝦のようにまるまって
安心して寝なはれや
北村節と呼んでもよいような、やさしい眼をした作品ですね。その奥にある社会の仕組みまで見通せるような佳作だと思います。現場を見ていなければ書けない、単なる想像だけでは書けない作品です。
亀背というのは初めて知りました。辞書で調べたら亀腹というのはありましたが、亀背はありませんでした。おそらく北村さんの造語と思われますが、いい言葉です。決して猫背≠ナはない、亀背だと納得してしまいますね。
紙つなぎという言葉も知りませんでした。40年近く前に、中学・高校のアルバイトで活版印刷所で働いたことがありますが、そんな言葉は記憶にありません。注で説明したくれたら亀背の原因が判って、読者はもっと深く入り込めたかもしれませんね。
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