きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「ムラサメモンガラ」 |
2000.3.9(木)
赤坂に出張してきました。アメリカのシンクタンクの日本支社です。赤坂見附から歩いて8分ほど。さすがにいい場所にあります。毎年のように訪れています。今日はビル外壁の化粧直しでしょうか、工事をやっていました。そんな工事がやれるほど儲かっているのかな?不思議な会社です。
ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、工場現場のトラブル解決の手法を教育している会社です。その会社から許可をもらっていませんので名前は出しませんが、優れた手法です。ちょっと難しい考え方かもしれません。自分の身についてしまえば、非常に有効な手法です。製造業の大手にはかなり取り入れられています。トラブル解決で悩んでいる方、ご一報くだされば紹介しますよ。
○詩誌『鳥』34号 |
2000.2.10 京都市右京区 洛西書院・土田英雄氏発行 300円 |
キス/元原孝司
疲れた体をソファーに横たえて
うとうとしていると
クレスが *
キスをして
すっと向こうへいった
家族の中で
おまえを飼うのを
一人反対したのは
私だったと
知っているのだろうか
こちらを見つめているクレスと
目があった
*
我が家で昨年から飼っているボーダーコリー。雄。一歳五ヶ月。
何気ない犬との交流ですが、私は惹かれました。犬好きにはよくお判りいただけると思うのですが、犬と人間の感情の交流というのはあるんですよね。特に室内犬にはその傾向が強いんでしょうね。
私の家にも室内犬がいます。飼うにあたって反対者はいませんでしたので、この作品とはちょっと違いますが、感情の交流は毎度のことです。犬が家族の感情をちゃんとはかって、場合によっては仲裁に入ってきます。何度助けられたことか(^^;;
しかし、うちの犬にはやめてもらいたい癖があります。キスをするのはいいんですが、そのついでにクシャミをする。「ひとの顔にツバを飛ばすな!」と毎回怒るんです。でも直りません。
作品に触れて、そんなホンワカした気分にさせられました。
○絹川早苗氏詩集『独り居の記』 第5次ネプチューンシリーズT |
2000.3.5 横浜市中区・禿方 横浜詩人会発行 1200円 |
寒い朝
錐に尖った朝
ひさびさに炭をおこす
樹木の 長い眠りを揺りおこす
くりぬかれた桐の手炙(てあぶ)りに
漆色(うるしいろ)に映える火の種をいれ
赤ん坊の足裏の感触にならした灰でくるむ
(輝きは内部に向かい
(僧院の ふかい沈黙を侵していく
顔を近づけ
ほおっと 息をかけると
火はどよめいて 勢いをまし
火の子がときどき小さな声をあげる
人の手を求め 時間の推移をおしえ
若々しい生命の継ぎたされるのを促す
たたけば 深山の斧にひびく
堅い備長炭ではなく
燃えつきのはやい楢の炭だが
それでも
森に棲んだ祖先の遠い記憶に
孤独がしばらく温められる
すばらしい喩の多い詩集です。その中でも上の作品が最も気に入りました。「錐に尖った朝」「樹木の 長い眠り」「赤ん坊の足裏の感触」「僧院の ふかい沈黙」「小さな声」と次ぎ次ぎに繰り出される喩に、唖然とするばかりです。
そして最終連の「孤独」。詩集のタイトルの「独り居」と考え合わせると、詩人の置かれている立場が理解でき、作品をより味わい深いものにしていると思います。たくさんの喩が生まれる必然性までも理解できるような気になってきます。生まれるべくして誕生した詩集と言ってもよいのかもしれません。
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