きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「茄子」 |
2000.8.26(土)
何の予定もない休日です。終日、寄贈本を読んで過ごしました。6冊を読んで、あと2冊残っています。テレビで巨人-横浜戦を見ながらの読書ですから、いいかげな読み方になっていますね。ごめんなさい。野球はとりあえず9対11で横浜が勝っていました。そこで中継はおしまい。あとはラジオを聞くだけですが、打撃戦で少々疲れました。結果は夜のニュースで見ようと思います。巨人が追い上げていますが、今の横浜打線なら勝つでしょう。
○詩誌『木偶』43号 |
2000.8.20
東京都小金井市 木偶の会・増田幸太郎氏発行 300円 |
廃駅/仁科
理
廃れたのだ
それだけのことだ
そう思って
納得しようとする
脈絡を断たれたものは
無数にある
何処にもある
その素顔がみえる
歴史の廃駅
人間の廃駅
ことばの廃駅
人影もみえぬあたり
孤立する改札口を
わたしは
追われるように出る
「ことばの廃駅」というフレーズに惹かれました。重い言葉を投げつけられた思いです。「廃れたのだ/それだけのことだ」という第1連が重なってきます。歴史も人も言葉も、廃れればそれだけのこと。ある意味では潔く映りますが、私には作者の言いようのない悲しみが伝わってきます。万物が本質的に持っている悲しみなのかもしれません。
最終連で作者は自分自身にとどめを刺しているように思います。そこまで追い込まなくても、と思いますが作者の徹底性や純粋さがそうさせているのでしょうか。何事にもいいかげんな私への批判のように受け止めました。
○詩と批評誌『岩礁』104号 |
2000.9.1
静岡県三島市 岩礁の会・大井康暢氏発行 700円 |
風/太田京子
はじまりもなく
終わりもなく
軽やかに
宙を舞い
姿も見せず
それでいて感ずる
気配から
嵐まで
心地よさから
恐怖まで
穏やかかと思えば
何もかも破壊する力を持つ
地球を回る
風の中の
すべての情報が読めたらと思う
最終連に惹かれました。風の中に情報があるという発想はすごいですね。風は空気の移動ですから、確かに匂いや熱の情報を持っています。しかし浅学にして私には、どういう理屈で風が匂いや熱を運ぶのか説明できません。おそらく分子や原子が介在するはずですが、伝達する仕組みが判らないのです。現代の科学では単に「エネルギー」と称しているだけだと思います。
そんな科学的な興味もさることながら、「地球を回る/風の中」には各地の紛争やら庶民の営みの情報も含まれているんだろうなと想像します。開け放しの窓から入ってくる夜風に包まれて、そんな意外な思いにとらわれています。今まで出会ったことのない風の見方を教わりました。
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