きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「モンガラ カワハギ」 |
2001.1.28(日)
日本詩人クラブの理事選挙管理委員会がありました。日本詩人クラブの役員は2年に一度改選されます。今年が改選の年にあたっていて、理事会から会員7名の方に選挙管理委員をお願いしました。私は担当理事としての立場で、中原道夫理事とともに出席しました。
今日が実質第1回目の委員会で、投票用紙の発送が仕事です。委員7名、理事2名の計9名で作業に取り掛かりましたけど、会員800名に発送するというのは大変な作業ですね。それでも思ったより早く終わりましたが、次回は開票ですからもっとシンドイことになりますね。
日本詩人クラブの役員任期は、連続2期4年が限度です。私はまだ1期2年ですから、今度の選挙で再任されるかもしれません。過去の例で1期2年ですんだ人はほとんどいないようですので、覚悟はしています。自治会の役員もPTAの副会長もこの3月で任期が切れます。詩人クラブで再任されても今よりは楽になるでしょう。そうそう、ペンクラブの電子メディア対応研究会副座長というのも、3月で一度解任されるはずです。その後はどうなるか判りませんけど…。
詩人クラブには40代、50代の働き手が育ってきています。そういう人たちが今度の改選で新任理事として登場してくれればいいなと思っています。今の60代、70代の人たちが現在の詩人クラブの体制を作ってきてくれました。それを引き継いでいくのが私たちの世代の仕事です。世代交代がうまくできない組織に未来はありません。私たちの世代は、引き継いで、さらに若い世代に渡していくこともそろそろ視野に入れる時期でしょうね。
○西尾君子氏詩集『はじまり』 大宮詩人会叢書第四期(4) |
2001.1.20
埼玉県大宮市 大宮詩人会叢書刊行会刊 1300円 |
はじまり
たった五粍の感じだったのに
洗濯物を干す時 右手が左手より短いのよ
あら どうして どうしたのかしらって
ひと
四十八歳の誕生日を迎えた彼女の
その朝 不意に感じたわずかな五粍は
翌朝にはもう右半身 足もともおぼつかなく
六ヶ月間の入院 リハビリとなった脳梗塞
なんでもはじまりって そんなものね
いつもとちょっと違う あらっという感じ
それ こわいのね 何でもない当たり前って
有難いことなのよね
友だち四、五人 いまさら毎日毎日の
つつがない重さを測るように
あったかい煎茶茶碗 両手で頂いていた
その日 私の庭で
たった五粍 土をもちあげた
チューリップの芽 みつけた
ああ たった五粍の春のはじまり
私はしゃがんで 土に近づき その鮮やかな
小さな みどりを指でさわった
なんだか とても 嬉しくて 可愛くて
なおる
でも入院したその時から もう快癒ことへの
はじまりだったのよ と笑った彼女の顔
思い出していた
詩集のタイトルにもなっている冒頭の作品です。「はじまり」というのは常に新しいものに触れる感覚があってワクワクするような気分、と私は思いこんでいました。「たった五粍の春のはじまり」のように。しかし、それが「六ヶ月間の入院 リハビリとなった脳梗塞」の「はじまり」だったと知ってショックを受けました。冷静に考えれば、それも当然のことなんですが、一方的なモノの見方しかしていないことを思い知らされた次第です。
しかし、「でも入院したその時から もう快癒ことへの/はじまりだったのよ」というフレーズには安心させられます。こういう前向きな姿勢というのはいいですね。良いも悪いもない、精神的な強さの「はじまり」を感じます。いわば第三の「はじまり」と言っていいでしょうね。
16年ぶりの詩集だそうです。「系譜」「水鳥の匂い」「蔭膳」「再生」など、新しく教えられた作品が多い詩集でした。
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