きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「モンガラ カワハギ」 |
2001.2.5(月)
職場での月曜日は会議の日で、一日の半分は会議でつぶれることになっています。それに加えてきょうは、細かい会議が立て続けにあって、まあ、本当に会議デーでしたね。30分、1時間という細かい会議が組み合わされると、いったい今は何をやって次は何をやるのか混乱しそうでしたよ。それも仕事と割り切りましたけど、効率的な会議のあり方も模索するようです。
○北村真氏詩集『始祖鳥』 |
2000.8.31 東京都北区 視点社刊 2200円+税 |
第11回日本詩人クラブ新人賞候補詩集です。選考委員である私のもとに、事務局からの依頼によって送ってくれたものです。候補詩集と選考委員という関係ですから、いつもの感想にもならない勝手な書き込みは避けます。印象深い、次の作品を紹介するにとどめます。
深い井戸
前線基地に軍秘を伝える途中
密林で道に迷い
恐怖と疲労で倒れそうになった時
その村の人に助けられた
深い井戸をのぞき込むように
薄い眼で
父は戦場を語ったことがある
時をかさねると
戦争の体験さえ
懐かしい物語になってしまうのか
あるいは
幼い子どものために父が選んだ説話だったのか
*
<アルマヘラの闇に浮かぶ
小さな村のひとつの灯り>
*
手術後の発熱
解熱剤の投与
高いいびき
父は二十五才の兵士になって
戦場に舞い戻った
『伏せろ!』
『引き込まれる!』
呷きながら
父はベッドの柵を強く握りしめた
病室の壁の影
黒く滲む木立
北上する救急車のサイレン
戦闘服の足音
頭部と左腕と尿道に差し込んだまま
ジャングルを彷徨う
兵士の銃のように身構え
兵士の目のように怯え
父のパジャマの背は
汗でべっとりとぬれていた
*
<肉体の記憶は 物語をはみ出すから>
*
柵に絡む手を
小指からほどきながら
僕は
いくども戦場の父を抜き取ろうとした
けれど 人の手に触れたくて
だから かたく閉じていた
戦場の 兵士の 拳
あの夜 はじめて
兵士の名を呼び
あの夜 はじめて
僕は
父の名を呼んだ
○詩誌『スポリア』8号 |
2001.1.30
愛知県知多郡武豊町 スポリアの会・坂口優子氏発行 非売品 |
ミレニアム/熊崎輝日古
新聞の日付を見ないと
今日がいつなのか
分からない人たちにとって
千年に一度
百年に一度の
特別な日に
いったい何の意味があるのだろう
今日の朝が
昨日とちがう朝だと気づくところから
新しい一日が始まるのではなくて
今日の自分が
昨日の自分ではないと感じるところから
本当の今日が始まるのだ
昨日の失敗も
遠い昔の挫折も
そのまま見つめたらいい
虚飾も弁解もいらない
そのままが自分なのだから
窓を開けて
冷たい空気が流れこんできたら
それを大きく吸い込むだけでいい
そうすればきみは
もう昨日のきみではない
ミレニアムもそうですが、正月も特別なことをせずに過ごしています。人間の都合で一年を区切っているだけですし、ましてキリストの誕生日に合わせただけの区切りというものに、あまり変な騒ぎ立てをしたくないと思うからです。そう言うと、まわりからは白眼視されますので、あまり言わないようにしていますが…。
そんな思いでいるところに、この作品と出会って、ホッとした気分でいます。それに、2連目は考えさせられましたね。そこまでの感覚はありませんでした。なるほど、他力本願じゃなくて自力で感覚を研ぎ澄ませ、ということでしょうね。3連目もよく判ります。ついつい「虚飾も弁解」もやってしまいがちです。いろいろと考えさせられました。
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