きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「モンガラ カワハギ」 |
2001.2.10(土)
日本詩人クラブの2月例会がありました。3人の会員による朗読とスピーチと上田周二さんの講演「西脇順三郎のプロフィール」で、大学の教授だった西脇順三郎に直接教わった上田さんのお話はおもしろかったですよ。上田さんの第1短編小説集『闇の扉』に西脇さんが序文を寄せてくれていて、それを朗読してくれましたが、金を稼ぐ作家にはなろうとしなかった上田さんに、師があたたかく見守っているのが判りました。西脇順三郎の別の一面を見た思いです。
会場風景 |
今回も大勢集まりましたね。上田さんのお人柄でしょうか。私は先月の新年会を欠席していますので、ずいぶん長く皆さまにお会いしなかったような気になっていました。久しぶりに仲間と会えるというものは、やはりいいものです。
なお、当日の様子は日本詩人クラブのHPでも紹介しています。そちらもご覧になってください。
例会のあとは懇親会ですけど、サボりました。明日、奈良県桜井市で「鬼の会」が開かれるので、それに出席するため17時52分発の「のぞみ」に乗りました。恒例の蔵元・今西酒造を訪問します。どんな酒が出てくるか、楽しみです。
○総合文芸誌『星窓』8号 |
2001.1.31
大阪市中央区 星湖舎発行 1000円+税 |
顔がない/いずみ
きよし
今 見た人には顔がない
向こうを歩く人にも
顔がない
となりの人にも
顔がない
一体 いつから
こうなんだ
そういえば
何も見ず 何も聞かず
何も言わないなら
顔など いらない
筈だから
今の日本の現状を痛烈に皮肉っているように思います。「何も見ず 何も聞かず/何も言わない」、いわゆる三猿になってしまった日本人。本当に「一体 いつから/こうな」っちゃったんでしょうね。責任の一端は私にもあるのかもしれません。
今号はその他に、日本詩人クラブ会友の梅澤鳳舞さんがおもしろい試みをしています。土井晩翠の「荒城の月」を英訳して、さらに英文の意訳をしています。作品を別の言語に置き換えた上に意訳するなんて、少なくとも私は初見です。意欲を買いたいと思います。
○アーサー・ビナード氏詩集 『釣り上げては』 |
2000.7.2 東京都新宿区 思潮社刊 2000円+税 |
この詩集は第11回日本詩人クラブ新人賞の候補詩集です。選考委員である私に送っていだいたものです。そういう性格の詩集ですから、感想を書くことは控えます。印象深い次の作品を紹介するにとどめます。
ことば使い
「吠えろ」と怒鳴り
「芸になってない」
と鞭打つ。
一行の
輪抜け跳びを
何回もさせる。
いくらおとなしく
馴れているようでもやつらは
猛獣。
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