きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.2.16(金)

 埼玉県戸田市に出張し、その足で日本ペンクラブの電子メディア対応研究会に出席しました。電メ研では、昨日の文字コード委員会の様子を報告し、その後、電子出版契約についての討論を行いました。私は経験が無いんですが、紙の本で出版する場合も出版契約書というのがあるそうです。現実には出版契約書を取り交わさないで、著者と出版社が暗黙の了解でやっていることが多いようですが…。
 電子出版が今後増加することが予想され、現実に取り交わされている電子出版契約書を見ると、あまりにも著者に不利になっています。例えば、いわゆる印税は紙の本は10%が多いようですが、電子出版では15%程度です。従来の、印刷・製本・在庫の費用がほとんどかからなくなるわけですから、これはひどいのではないか、売り上げの50%や60%が著者に還元されてもおかしくないのではないか、という疑問から出発しています。
 著者は比較的、金の比率や契約に無頓着なようです。電子出版が始まった今こそ、将来に禍根を残さない契約書作りをしておいた方がいい、契約書で注意すべきマニュアルをペンの会員に提示するのが電メ研の仕事ではないか、と考えて始めました。事前のメーリングリストでの討論をもとに、秦座長が試案をまとめてくれていましたので、それを叩き台に煮詰めました。全6章、かんり有効なマニュアルになったと思います。現在、最終の詰めをやってまして、近々公表されるでしょう。ペンの会員には会報と一緒に、また、ペンのHPにも公開されますから、気になる方は見ておいてください。契約が差し迫っていて、すぐにでも見たいという方はご一報くだされば、概案ですがお知らせします。ペン会員の弁護士のチェックも入っていますから、法律的にも信頼できると思います。

 その後は八重洲へ。以前から約束していた、数人の仲間との呑み会です。店は「ビア・チムニー」という所で、私が紹介しました。昨年夏に中学校の同窓会をやりましたが、同級生の女性が店のマネージャーをしていることが判明、一度行くよ、と言っていたものが実現したわけです。行ってみると、その女性は社長になっているし、すれ違ってしまいましたが八重洲口まで迎えに来てくれたそうです。ちゃんと席も取ってくれていて、社長自ら接待してくれて、いい思いをしてきました。30年以上も会っていなかったんですけど、同級生とは不思議なもんですね。



文芸誌『らぴす』13号
lapts 13
2001.2.10 岡山県岡山市
アルル書店刊・小野田潮氏発行 800円

 熊谷文雄氏の「続々々・江馬修「山の民」」に注目しています。「山の民」は戦前に自家版で出版され、その後昭和20年代前半に出版社から刊行されたようです。岐阜県飛騨地方の農民を描いた作品のようで、出版当初は一部の歴史学者からは個人でなく集団を描いた新しい小説≠ニ評価されたようです。熊谷氏は次のように書いています。
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  (昇平:筆者注)
 大岡氏以降の「山の民」評として私が知っているのは、尾崎秀樹氏「特定の主人公を設けていない」、色川大吉、佐高信両氏「司馬遼太郎のようなヒーロー中心の『個人肥大史観』ではなく、多数の農民を描いた小説」と、いずれも「個人ではなくて集団が主人公」という見方である。
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 原作を読んでいないので、何とも言えませんが気になります。個人の主張、オレがオレがという昨今の作品を見ていると、自分を抑えるという作風に魅力を感じています。ことによると、そんな風に書かれているんではないかと…。なんとかして読んでみたいものです。評論とは、読者に読んでみたい≠ニ思わせることも仕事の一つでしょう。熊谷は見事に成功していると思います。



 
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