きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
mongara kawahagi.jpg
新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.2.23(金)

 隣組の総会を行いました。今年度は私が組長でしたので、次の人へ引き継ぐ会でもあります。これで1年間の義務も終わり、ホッとしましたね。総会は近くの料理屋でやりましたが、そこはなんと、つい先日、食中毒で営業停止になった所でした。いつも使っている所なんで、私も気楽に予約したんですけど、そのあとで食中毒事件があって、正直、迷いました。それを楯にキャンセルしてもよかったんですが、なんか、弱い者イジメみたいになりそうで、グッとこらえました。組内の人には「一度、食中毒を出した店は大丈夫、気をつけて二度と出さない」なんて大見得を切りましたけど、内心は不安でしたね(^^;;
 で、結果は、、、やっぱりダメ。食中毒にこそならなかったけど、鍋に汁が入ってない! 具だけが焼かれてコゲて、あれ?変だなあ、と言ってるうちに汁が入ってないことが判り、みんなカンカンでした。私も皆さんを説得した手前、まいりました。新しいのに替えてもらって落ち着きましたけど、なんか基本的なところで間違っているような気がしましたね。もう二度と使わないでしょう。翻って、自分の仕事のやり方、詩作のし方で基本的なところが間違っていないか、考えさせられました。



愛知県西春町編『でらむか大賞』作品集
deramuka taisyo
1998.3.20 東京都中央区 ぎょうせい刊 1143円+税

 「でらむか」とは名古屋弁で「どえりゃーむかつく」という意味だそうです。愛知県西春町が1995年に「野焼き」「空き缶のポイ捨て」「犬猫の糞害」に罰則付き条例を制定した際、趣旨を理解してもらうため、体験文を募集して「でらむか大賞」「うっぷんばらし大賞」を誕生させたそうです。その集大成がこの本というわけです。この私のHPにもリンクしていただいている萌木碧水さんから頂戴しました。
 萌木さんはこの賞で特別賞を受賞しています。受賞作の「親愛なる あなたへ」を少し抜粋してみましょう。
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 どうしてあなたは、全く気に掛けずに外でポイッと物を捨てることができるのですか。あなたがあの日、線路脇の道で、紙屑を何気ない風に捨てるのを見て、私はあまりの突然の出来事に仰天し、弾けたようにあなたに抗議しましたね。あなたはにこにこ笑いながら、もうしない、あなたはこういうの嫌いだものねと言ってその直後、口に入っていたガムを吐き出しましたね。道路に。
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 笑い話のようですが、事実なんでしょうね。決して「あなた」も悪気があってやっているわけではないでしょうが、習慣になっているんだと思います。習慣だからこそ意識して直さなくてはいけないことですね。私も以前はそうでしたよ。煙草の吸殻は靴できちんと踏んで、火事にならないようにさえすればいいと思っていました。10年ほど前に環境問題について論文を書く機会を与えられ、我が身を振り返って、気付いてやめましたけど。それ以来、ポケット灰皿を持つようにして、無いときはズボンのポケットに入れて、あとで捨てるようにしています。お陰でポケットがいつも煙草臭い(^^;;
 この本の素晴らしいところは、むかつく人の体験文ばかりでなく、むかつかせた人・ゴミを捨てた人の体験も載せていることです。一方的な弾劾ではなく、弾劾されるべき人の発言があるというのは貴重です。私も含めて大方の人は、多少なりとも弾劾される側になるだろうと思います。それを素直にまず認めて、そこから反省していかないとダメでしょうね。それが成されていることが、この本の価値を高めていると言えましょう。あんまりエラソウなこと言えないけど、なるべくまわりに迷惑かけずに過ごしたいものだと思いました。



詩誌『梢』25号
kozue 25
2001.2.20 東京都西東京市
宮崎由紀氏発行 300円

 手袋/山田典子

公園の隅に
片方の手袋が 落ちている
ちいさな ちいさな
かたっぽの手袋

落とした子は
叱られていないか
ぶたれたりしていないか

ミルクを飲まない
なつかない
かわいくない と
殺されたり ケガをさせられたり
ちいさな命の
悲惨なニュースが
北風の中に渦まいて

拾いあげた手袋を
目立つところの樹の枝に
かけておいた

 ちいさな手袋が落ちているのを見て「落とした子は/叱られていないか/ぶたれたりしていないか」と思ってしまうとは、本当にイヤな世の中だと思います。以前なら、落とした子が悲しがって泣いていないか、と思ったんですがね…。子殺しのことも以前なら、傷害を持った子の将来を哀れんで親子ともども、というパターンが社会問題になっていたと記憶していますが、今は「ミルクを飲まない/なつかない/かわいくない」という理由だと言うんですから、信じられないことです。ましてや、子に保険を掛けて殺して、親はその金で贅沢三昧となると、絶望的な気分にさえなってしまいます。
 作者もきっとそんな思いをしているのでしょう。最終連の3行にその気持がよく表れていると思います。嫌なことが多い世の中ですが、そんな作者の表現に出会って、救われた思いです。



 
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