きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「モンガラ カワハギ」 |
2001.5.4(金)
書斎の窓から1機の白いパラグライダーが見えます。神奈川県山北町にある、丸山という小さなエリアです。私的な会員制のエリアで、以前、私も名誉会員のような立場で加えてもらっていましたが、結局、一度もそこで飛ぶことはなくパラをやめてしまいました。白い機体が幅100mほどの小さなリッジを右へ左へとソワリングしています。南東の柔らかい上昇風があるようです。高く上がってもテイクオフより20mほどでしょうか、下降しても20mほどですね。エリアが小さいので1〜2機しか飛べません。細かな技量が必要な場所です。
ハンググライダーをやめて20年、パラグライダーをやめて7年ほどになります。ずいぶんと機体の性能も上がっただろうなと思います。私が始めた頃は、滑空比が6ほどでした。滑空比6って、6m進んで1m下る、だったかな? 忘れました(^^;;
それが今は12を越えていると思います。また始めるとしたら一から勉強し直すようですね。
なぜスカイスポーツを始めたか? おもしろそうだったのと、死んでもいいやと思っていた時期が重なったこと。実際に死んでしまった仲間は3人、重症を負ったのは数知れず。仲間うちで重傷者は3割を越えたんじゃないでしょうか。軽傷者は9割くらいかな。ハングでは私も墜落して2ヶ月の重傷を負いましたけど、パラではその教訓を生かしてカスリ傷ひとつ負いませんでした。
なぜやめたか? 死ぬのが怖くなったから(^^;;
45歳くらいでやめてしまいましたけど、その頃からようやく世の中がおもしろくなったんですね。それと同時に忙しくなって、死んでいる暇なんかなくなりました(^^;;
仲間もみんな若くて、次々に結婚してスカイスポーツをやめたことも一因です。今はこうやって窓から眺めるだけで満足しています、、、って、本当にオヂイになったなぁ。
件の白いパラは、山から離れて前方に向かっています。徐々に高度を下げていますから酒匂川の河原にでもランディングするのでしょう。途中の民家やら工場を見下ろして、それを眺めながらもアプローチを計算しているはずです。滑空比を考え、風向・風力を考えて緊張していると思いますが、自分のイメージ通りに降下して行けたら、ランディングの瞬間には満足するはずです。今日は乱気流もなく、大丈夫です。いい休日を楽しんでくれ、オレは本を読む。
○詩誌『掌』122号 |
2001.5.1
横浜市青葉区 志崎純氏発行 非売品 |
負け犬/石川
敦
〜平成十三年 原子力潜水艦事故雑感〜
Jの顔はね
凛々しかったんだよ
乱暴者と喧嘩して
二発強烈なのを食らって
負けちゃったんだ
そしたら
そのやくざ者が
付きまとい始めたんだ
周りに力を誇示したい魂胆なんて
見え見えなのに
怖じ気づいたんだよね
元々Jのことを
奴隷と同じに思っているからさ
金に困れば
持って来いと威張るし
堂々と家に上がり込んで
平気で夜中でも騒ぐし
近所の女の子達に
暴行までしたんだよ
Jが注意しても
全然聞かないしさ
見てご覧 Jの顔を
しょぼくれた紙屑みたいだろ
この間も
そいつが事故を起こして
J家の人が殺されたんだって
でもさ
親友だろとか言われてさ
それで終わるんだろうね
もちろん「J」とは Japan
のことで、「乱暴者」「やくざ者」は米国のことです。原潜事故をこのように書いた作品を初めて見て、驚いています。米国についての比喩もいいですが、日本の比喩も卓越していると思います。「凛々しかった」顔が「しょぼくれた紙屑みたい」な顔になっていく課程を考えると、なんとも悲しいものがありますね。
それにしても原潜事故、どうやら「親友だろとか言われて」「それで終わる」気配です。私自身、何もしていないので言えませんが、アメリカ大使館にデモのひとつもできないていたらくに、日本人もなってしまったんですね。
○詩誌『布』13号 |
2001.4.20
千葉市花見川区 先田督裕氏他発行 100円 |
ポピーの花びら/松田克行
ポピーの花びらが
ぼくに手を振っている。
その人の名を想い出すのに
ずい分時間がかかった。
中々想い出せなかったのは
その道が、あまりにも
近かったからだ。
「花びら」だから、相手は女性ととりたい。愛情なんて、こんなものかもしれませんね。近くにあるものほど気づかない。特に男というものはニブイのかもしれません。そこをパッと突いている作品だと思います。短い詩ですが、作者のあたたかさも伝わってくる、いい作品です。
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