きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.5.5(土)

 群馬県榛東村の「榛名まほろば」に行ってきました。富沢智さんの経営する現代詩資料館で小沢信男さんの講演・第7回ポエトリーステージがあったからです。亡くなった辻征夫さんのお話で「貨物船句集」まで≠ニいうタイトルでした。主宰する「余白句会」のメンバー、清水昶さん、八木幹夫さん達も駆けつけて、豪華な顔ぶれでした。

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辻征夫を語る小沢信男氏

 私は俳句を作ったことがなく、ちょっとイジケたところがあったんですが、辻さんの自由奔放な作句を聞いて、親しみを持ちました。詩らしきものを書く一員として、伝統的な俳句や短歌を知らないというのは後ろめたいところがあります。今日の小沢さんのお話で、少しは近づけたかなという思いです。
 車で行きましたけど、行きは2時間50分、帰りは5時間かかりました。でも充実した気分で、帰りの渋滞があまり気になりませんでしたね。本当はもう少し残って、小沢さんと雑談したかったんですけど、体調がイマイチ。それだけが心残りでした。



西垣通氏/ジョナサン・ルイス氏共著
インターネットで日本語はどうなるか
internet
2001.3.26 東京都千代田区 岩波書店刊 2000円+税

 このHPではいただいた本の紹介を基本としています。しかし、今回は自分で買った本を紹介しましょう。西垣通さんは、日本ペンクラブ電子メディア研究会(「電子メディア対応研究会」から改称)でご一緒している元東京大学社会科学研究所の教授で、現在は東大情報学環教授です。専門は情報学。電メ研の議論の中で西垣さんの果たした役割は大きいことも付記しておきます。
 本著は第1部「日本人にとって英語とは何か」、第2部「日本語はどうなるか」、第3部「コンピュータの可能性と課題」の大きく3つに分けられていて、第1部では小渕元首相の私的懇談会「二十一世紀日本の構想」の最終報告書に痛烈な批判を浴びせています。すなわち第二公用語として英語を導入すべきだという同懇談会の提言は、予算面、歴史面、インターネットによるグローバル化という観点でもナンセンスだというものです。非常に判り易く解説、批判さられていて痛快な気分さえ味わえました。
 第2部ではインターネットで多言語を扱う場合のおもしろい提案をしています。例えば、日英の2カ国語を表記する場面、漢字の持つ意味性の重要さを考えると、次のように書いてもいいのではないかと提案しています。
   But 日本 反対 to the plan because of 経済的 reasons.
 日本=Japan 反対=objected 経済的=ecomomic という読み方さえ英語圏に認知されていれば、言語としては意志疎通が可能だという発想です。こう書かれると日本人には即座に意味が理解できますね。これは今すぐには無理でしょうが、将来的には可能だと私も考えます。むしろ、逆のことですが理系の文献の中では多く見られてきたことです。例えば、
   我々は ITEM という言葉を初見したとき、意味が理解できずにいた。
 などのように原語をそのまま使うなどをやってきました。これの逆と考えればいいわけです。言語が世界共通にすぐなるとは思えませんが、言語の世界化という観点ではおもしろい提案だと思います。
 第3部では翻訳ソフトについて解説しています。私もたまにパソコン付属の翻訳エンジンを使うことがあり、その重要性と現在の稚拙さは理解しているつもりです。つくづくコンピュータの世界は過渡的だと思う反面、西垣さんのような専門家の努力も知ることのできる好著です。理系の人間だけでなく、文系の人にも読みやすい本です。ご一読して、コンピュータと人間について考える機会になればと、推薦します。



 
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