きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
mongara kawahagi.jpg
新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.6.1(金)

 日本詩人クラブの第2回理事会がありました。今回お知らせするメインは、来週に迫った千葉大会の準備状況です。地方大会担当の諌川正臣理事より報告がありました。それによると、大会参加者は215名が確定し、さらに20名ほど増えそうだとのこと。250名定員の部屋が満員になりそうですね。大変な数の人たちが集まるようです。当初は150名ほど集まってくれればなあ、なんて話していたんですけど、予想を大幅に上回りそうです。
 懇親会参加者は150名ほど、宿泊は120名ほど、翌日の高田敏子詩碑見学を中心とした懇親見学会は100名ほどと、いずれも大人気のようです。これもひとえに諌川理事、前原武実行委員長を中心とする千葉県詩人集団のご努力の成果だと思います。会員のひとりとして、理事のひとりとして微力ながら私も協力させていただきます。
 さて、当日は個人的な楽しみがひとつあります。このHPにもリンクしていただいているM女史がおいでになるとのこと。会員ではありませんが、もちろん会員以外の方も大勢いらっしゃいますので、お誘いいたしました。正確には「行きたいけど、いいかな?」というメールがあって、「大歓迎!」と返信した、ということです。M女史のHPには顔写真も載っていまして、美人ですね。美人の前ではアガる方なんで、うまくお話しできるか今から心配です(^^;;
 当日参加もOKです。詳しくは
日本詩人クラブのHPをご覧になってください。会場の「夕日海岸ホテル」は、海が目の前のすばらしいロケーションだそうです。夕陽を肴に一緒に呑みませんか。



詩誌『叢生』114号
sosei 114
2001.6.1 大阪府豊中市
叢生詩社・島田陽子氏発行 400円

 老老介護名由良恵介

「老い」とは
命あるものに課せられた
義務なのか

こぶし
辛夷の花が
寒さの残る青空に顔を写した頃
それは偶然見かけた
小雨あがりの大社の前
介護の疲れからか
丸くなった背中を折り畳むようにして
鳥居にむかって手を合わせている
訪問先の奥さん
いつも気丈に振舞っているのに
時折
弱々しい表情を見せる時がある
 今日を生きるのがつらい……
何かを置き忘れたかのように
ふと もらした一ヶ月前
 もう一度 おとうちゃんを
 自分の足で歩かせてやりたい……
とも言った一周間前
 この人は
 私の両親を大事にしてくれました
 だから恩返しのようなもんです……
会話の少ない二人の生活に
私の訪問日は
癒しの扉を開く時らしい
奥さんの掌につつまれて
ぬくもりを感じながらも
言ってはいけない愚痴をとばす夫に
自分を捨て 許そうとする
誰にも言えない
誰にも知られない
老老介護

疲れを弄ぶ轍の跡は
今日も震える背中を丸くする

 「命あるものに課せられた/義務」という言葉が、まず眼に飛び込んできました。すごいことが書いてありそうな予感があって、読み進むうちに具体的な情景が眼に浮かんできて、予感が的中したのを知りました。重いテーマで考えさせられます。特に「誰にも言えない/誰にも知られない」というフレーズが頭に残ります。
 作者は介護関係のお仕事をなさっているようです。私にも老いた父親がいますが、とりあえずひとりで何でもできますから、介護≠ニいう感覚はあまりありません。それでも時々、老いたな、と感じることがあって、いずれ我が身と思う次第です。仕事とは言え、そんな老人たちを見て行くというのは、大変だろうなと想像しています。しかし、介護する「奥さん」の「一ヶ月前」「一周間前」の言葉を記憶し、作品として仕上げる作者の態度を見ていると、基本的にはやさしい人だなと思います。詩人としての人間を見る眼を、そういう介護の現場から養っているのかもしれません。考えさせられることの多い作品だと思います。



 
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