きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
mongara kawahagi.jpg
新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.6.10(日)

 9〜10日、日本詩人クラブの千葉大会で館山市に行ってきました。250名ほどが集まって、盛会でした。ここのところ地方大会は200名以上というのが続いているんじゃないでしょうか。詩人クラブの人気も上がってきたなぁと思います。大会を運営なさった千葉県在住の詩人の皆さま、お疲れさまでした、ありがとうございました。

010609
「夕日海岸ホテル」にて

 写真はアトラクションの里見流舞踏の一場面です。かわいいですね。真剣な様子が伝わってきて感動しました。館山市立第二中学校合唱部の女声コーラスも良かったですよ。中学生くらいまでの女の子というのは、本当に安心して見ていられます。それ以上になると怖くて、ちょっと身構えてしまいます(^^;;
 今回は私のHPにリンクしていただいているM女史ともお会いするという、もうひとつの目的がありましたが、こちらも首尾よくできました。この場合「それ以上になると怖くて」という文言は忘れさせていただきます(^^;; 思った通りの美人で、きさくな方でもありましたので、進んで皆さんに紹介させていただきました。『山脈』のメンバーとも一緒に呑みました。でもね、女性陣には「あとでとっちめるからね」と言われてしまいましたので、こちらは「それ以上になると怖くて」の部類かなあ(^^;;
 10日は帰りがけに会社に寄って23時近くまで仕事をしましたので、ちょっとシンドかったんですけど、心地よい疲れでした。アトラクションのウミホタルの鑑賞も、見学させてもらった里見城址も高田敏子詩碑・野島崎灯台も良かったし、また行きたくなりました。地元で運営する方は大変ですが、皆さん喜んでくれましたので、それを疲労回復剤にしていただければうれしいです。重ねてお礼申し上げます。



田口義弘編・訳『カロッサ詩集』
carossa shisyu
1999.5.15 東京都豊島区 小沢書店刊 1600円+税

 著者ハンス・カロッサはドイツの詩人で、1956年に78歳で亡くなっています。訳者は京都大学名誉教授で、1999年刊行の詩集『遠日点』により第33回日本詩人クラブ賞を受けた方です。受賞者という資格で日本詩人クラブの会員になっていただきました。この本の訳者紹介を見ますと、カロッサのほとんどの詩集を翻訳なさっているようです。
 浅学にしてカロッサという詩人を知りませんでしたが、医師でもあり、リルケとの交流もあったようです。田口さんの解説には「光の詩人」として紹介されています。星、太陽、月などの光と関連のある素材を作品化したみのが多く、妥当な見方だろうと思います。短い詩を引用してみます。

 河辺の森に隠されていた
1

河辺の森に隠されていた
朝の太陽。
私たちは岸から突き進んだ。
太陽も水中に飛びこみ、
流れのうえで私たちの
煌めく同行者になった。
 
Im Uferwald verborgen,1913
 1 妻ヴァレーリエへの献辞とともに発表された作品。

 なるほど、太陽が出てきますが、私は最初の2行に特に注目しました。「森に隠されていた」「太陽」とは、なんとユニークな発想でしょう。田口さんも解説の中で指摘していますけど、夜は光との敵対ではないという思想を窺い知ることができます。単に「森に隠」れているだけだ、木間を透して光の存在を知ることができるではないか、と語っているように受け取れます。この複眼的と言いましょうか、医師らしい、現象を絶対視しない態度に私などは好感を持ちますね。科学者の基本的な視線を感じるわけです。
 それにしても世界にはまだまだ知られていない詩人が多いのだなと思います。もちろん不勉強の私は、日本国内でも知らない詩人ばかりですが…。そんな私に、こうやって教えていただけるのは何と幸運なことだろうと思います。何度でも読み返して勉強させていただきます。



詩誌しけんきゅう136号
shikenkyu 136
2001.6.1 香川県高松市
しけんきゅう社発行 350円

 巻く/倉持三郎

配られた真っ白なモゾウシを
そっとまるめている
ひと筋のしわもつけないように
かすり傷ひとつつけないように

しなやかで
やわらかな指さきで
何枚かまるめてゴムひもをまく
こちらでも
あちらでも

4月になったら
その上にどういう言葉があらわれるのだろうか
わたしたちのサークルは
あたらしいお友だちを待っています

つばさにぶらさがって
平野から吹き上げる
上昇気流に乗って
鳥のように空を滑空するのです

新入生歓迎 ----
海中で恋人にめぐりあえます
そういう言葉が
門のところで
新入生を勧誘するのだろうか

モゾウシを彼女たちは
やわらかい指で
赤子の肌を傷つけるのを恐れるように
そのなかに未来をそっととじこめるように
巻いている

 おそらく女子大での光景だろうと思います。作者は女子大の教授と記憶しています。第4連はパラグライダー同好会、第5連はスキューバダイビングの同好会というところでしょうか。パラグライダーでは「つばさにぶらさがって」という表現に甘い勧誘を感じます。実際は「ぶらさがって」なんてものではなくて、風を読むのにかなり必死になって、制御≠キるんですが…。
 それはそれとして女子大生たちの、本来のいい面を見せてもらえてほほえましくなりますね。「やわらかな指さき」、「赤子の肌を傷つけるのを恐れるように」などの表現に、女性らしいやさしさを感じます。それを見ている作者、女子大生たちの未来を「真っ白なモゾウシ」と表現する作者の姿に、いい先生に巡り合った学生たちの幸運を感じずにはいられません。



 
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