きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画「モンガラ カワハギ」 |
2001.8.15(水)
56回目の敗戦記念日。全世界の戦没者の皆さまのご冥福を祈ります。
夜は隣の地区の夏祭りに行ってきました。青少年健全育成会のパトロールです。ほとんど問題の起こらない地域ですので形ばかり、実際に何も起こらず20時には解散してしまいました。
パトロールなんて不粋なことより、やっぱり盆踊りを見物している方がいいですね。デジカメのムービーで遊んだりしていました。しかし、同行の警察官によると事件はいろいろ起きているそうですね。交通事故はあるとしても、クワガタ取りで山林の木を切ってしまう輩もいるというのには驚いてしまいました。暴走族のアベックへの暴行もあるそうです。メシ食ってるヒマもない、とぼやいていましたよ。お巡りさん、ご苦労さまです。警察組織は、サイバーポリスの問題も浮上してきて油断ならないんですけど、末端のお巡りさんは違うと思っています。真剣に地域のことを考えているのが伝わってきますからね。がんばってください。
○森ちふく氏詩集『命は赤い血の叫び』 |
2001.9.1 奈良県奈良市 樹音詩社刊 1500円+税 |
きし
軋る
寺院に放射される
宇宙からの光りの便りか
等間隔の屋根瓦があんなに明るい
歴史のまばたきか
さめていた体温を
さかのぼる血の
ざわめきが聞こえてくる
霧につつまれて
いきもののように
すんなり立っている五重の塔よ
売られそうになったことなど
知らぬげに
古都を見守っている
地球が軌る 世界が軌る
日本が軌る 奈良が軌る
人が軌る 心も軌る
軌る心を伝えるために
ペンを持つ私がいる
私の記憶に間違いがなければ「売られそうになった」「五重の塔」とは、興福寺の五重の塔のことではないかと思います。神仏棄捨(この字で良かったかな?)の時代に、売りに出されたと聞いています。「軋る」の背景にはそれがあるのだろうと思います。
技術的には「奈良が軌る」という言葉がよく効いていると思います。身近な存在として、日本の代表的な古都として具体的に受けとめることができます。そして「軌る心を伝えるために」というフレーズでは、著者の基本的な考え方、詩に対する態度が読み取れて作品の質を高めていると思います。著者10冊目の詩集だそうですが、年輪の深さも改めて感じた詩集でした。
○詩誌『樹音』40号 |
2001.9.1
奈良県奈良市 樹音詩社・森ちふく氏発行 400円 |
樹音/森ちふく
コッコットト トントーン
きつつきのように
あなたの樹音を響かせて下さい
ツラーツーツーツラツラ
流れてくる どこから?
血の色 それとも焔色
キラー チラリー チカ
視せて下さい
燈台のような光を
舞って下さい
ことばの遊園地で
樹音という森で
鏡が反射するように
詩誌『樹音』は40号でまる10年だそうです。きちんと年4回、おそらく季刊でしょうが出し続けたことになります。ひとりの力ではなかなか出来ないことで、優秀なスタッフが揃っているのだと思います。そんな10周年記念号の巻頭作品が紹介した詩です。詩誌の性格をうまく表現していると思います。私は今回初めて『樹音』をいただいたので、詳しいことは判りませんが、女性ばかりの世帯が楽しく機能しているように伝わってきました。
これからの10年、いや20年でも30年でも長く続いて、日本の詩をリードしてくれることを願ってやみません。おめでとうございました。
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