きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
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新井克彦画「モンガラ カワハギ」




2001.8.30(木)

 9月4日に開場する東京ディズニーシーに行ってきました。私の勤務する会社がスポンサーになっているので、安い料金で開場前に楽しんでもらおうという企画だそうです。親子3人で行ってみましたが、私の結論は、2度と行かない!です(^^;;
 ディズニーランドはファンも多いので、あまりケナすと顰蹙になっちゃいますけど、長時間待たされて、たった数分で終る乗り物のどこがいいのか戸惑っています。私も好きな「インディー・ジューンズ」の「魔宮の伝説」を模したお化け屋敷に入るのに、朝10時に予約して19時ですからね。これで開場時の4万人入場より少ない3万人入場というのですから、本番はオソロシイことになりそうです。

010830

 写真は入場ゲートに向かう人の波。これだけで全体の1〜2割です。湾岸道路から降りて駐車場まで1時間(通常は5分のはず、なんだって!)、それからゲートまでがさらに1時間。それだけの時間を費やして見るものと言えば、全て偽物。木を模した柱もコンクリート製。白煙をあげる火山ももちろん偽物。本物が無いのは当り前ですけどね。
 あまりイヤダイヤダと書くと、オヤジィー!と怒られそうですけど、やっぱりオジサマとしては赤提灯の方がいいナァ。本物の職人を相手にして本物の酒を呑む、そして本気で酔っ払う。酒呑みの方が健全な気がしますけど、錯覚?



椎野満代氏詩集『九月の民話』
9gatsu no minwa
2000.12 さくら屋刊 1200円

 受け皿

器は
ごはんや
くだものを
盛るばかりではありません

きようあった
たのしい出来事や
哀しみのすこしまじった話
手や
口をひっこめて
夫や子どもの盛りだくさんのおしゃべりを
わたし
受け皿になって聴いているのです

いつのまにか
ドラマ仕立てになった筋書きの話にも
気づかないふりして
いっとき
なごやかな風景に
ほおずえついて眺めているうち
夜ふけになって

わたし
もうお皿をひいていいですか

 母は「受け皿」という発想が食事の場面ともうまくマッチして、拝見して気持が和みました。そして「いつのまにか/ドラマ仕立てになった筋書きの話にも/気づかないふりして」というフレーズでは、母親(妻)の懐の深さを知らされた思いです。最後まで「受け皿」になっていて、でも「わたし/もうお皿をひいていいですか」という最終連ではさりげなく自己を出して、なかなか奥深いと思いますね。
 詩集は他に家庭内のこと、自然のこと、地球のことなどかなり幅広いのですが、家庭を扱った作品に無理がなく、そちらの方がこの詩人の持ち味かなと思いました。「家庭の味」「神様のいる台所」「初乳」などがそれにあたり、ちょっと毛色の変ったところでは「魂の旅」なども秀作です。



詩歌文藝誌Ganymede22号
ganymede 22
2001.8.1 東京都練馬区 銅林社刊 2100円

 カマキリと目が合って/宗美津子

紫陽花の咲く庭で
葉の上のカマキリと目が合った

あいさつがわりに手に触れると
ひじを張って首を半回転

三十六億年かけて
あなたはカマキリ
わたしはヒト
カマキリも太古の海を持っているだろうか
しげしげと見る
何だか自分に似ているみたい……あご
庭先に出ただけで
あくびをしているもの
ねぼけているものを
踏み付けたかもしれない
そんなふうに思うと歩みが止まる
生き物の呼吸に大小音があったなら----
   ノミ 
ゾウ アリ カバ ミミズ イモムシ
   
ダチョウ カマキリ わたし… etc
頭がこわれてしまいそう……
カマキリと目が合ったばかりに
あやしい考えが交差する
カマキリの目はけっこう鋭い

わたしの家のこんな小さな庭の中でさえ
無数の生き物の息で満ちている
いまいっしよに生きている
二重らせんの長いの短いの
数珠繋ぎ
カマキリの法則
ヒトの法則
名もないカマキリ
名もないわたし
全部あつめて地球のタペストリー
一本の糸乱れても絵が狂う

  カマキリよ早く卵を生みなさい
首をちよっと振ると
ひとっ飛びで一つむこうの紫陽花へ移っていった
  いつか同じ鉱物になるね いのちのもとの

 「ヒト」と「カマキリ」の「三十六億年」、「太古の海」、「二重らせん」などで、同じ地球上の仲間という感じをうまく出していると思います。そして最後は「いつか同じ鉱物になるね いのちのもとの」。ちょっとはかないけど、同じ生物に同じように訪れる死を考えると、納得できるものも感じさせてくれますね。
 作品としておもしろいのは「生き物の呼吸に大小音があったなら----」というフレーズです。動物の大きさに合わせて活字も変えていて、目で見ても楽しめます。そんなことを感じさせるカマキリの目って、はて、どんなだったかな? 私はトンボの目と同じように思い出しています。最近はあまりカマキリも見なくなってしまいましたが、今度出会ったらじっくり観察してみましょう。



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