きょうはこんな日でした【 ごまめのはぎしり 】 |
新井克彦画:ムラサメ モンガラ |
2001.9.8(土)
日本詩人クラブの例会がありました。今回の講演は影山恒男氏による「現代詩批判−四季派を再評価する」。いわゆる戦後詩の洗礼を受けてきた私には、かなり耳の痛い話もありました。中学生、高校生の頃は抒情を否定しなければ現代詩なんて書けないと思っていましたからね。『山脈』に入れてもらってから、詩の本質は抒情だと気づきましたけど…。特にシュールに憧れて、自動書記に近いこともかなりやりましたよ。私個人の楽しみとしてはその頃書いたものが今でも好きなんですが、発表するとなると、ちょっと違うなあ。
いつもと違う角度で撮ってみました。デジカメはどうしてもピントが甘くなりますね。光学6倍ズームだから手ぶれが起きているのかもしれません。影山氏はご覧のような紳士です。どこかの大学の教授だそうで、会員ではありません。話は判りやすくておもしろかったですよ。娘さんが3歳の頃のエピソードが笑えましたね。親戚の家で遊んでいて、遊びの途中で帰ることになって大泣きしたそうです。大人は負けて、じゃあもう少し、ということになったそうです。それを聞いた娘さんはピタッと泣き止んで「泣いている場合じゃないわ」と言って遊び始めたそうです。光景が眼に浮かぶようで、大笑いしてしまいましたよ。
そんな話ばかりでなく、示唆に富む重要な話もありました。会員・会友の皆さまは11月末発行の「詩界通信」7号に要旨が載りますので、それを参考にしてください。真面目に四季派の仕事を考えさせられますよ。
終るといつもは二次会に行くのですが、私はサボリました。宇都宮に行ったんです。日曜日に宇都宮で出版記念会があり、宇都宮の大谷武さんに、前の晩から来いヨと誘われました。宇都宮って、考えたら初めて行く所だったんですね。夜の宇都宮を大谷さんに案内されて、存分に楽しみました。彼もお酒が好きですからね。韓国人女性のいるスナックをハシゴして、1時過ぎまで呑んでいたと思います。美人で、気配りの行き届いた女性ばかりで、いっぺんに宇都宮が好きになりました。東北新幹線で小山まで行く出張は時々あるんですが、今度は宇都宮まで足を伸ばせる仕事はないかと狙っています(^^;
○鬼の会会報『鬼』352号 |
2001.10.1
奈良県奈良市 鬼仙洞廬山・中村光行氏発行 年会費8000円 |
飲みっぷり
酒を愛する度合いは、その飲み方で分かり
ましょう。土器を呼んでカワラケ、次に漆塗
りが用いられ猪口になりました。濁り酒が清
酒になって陶磁器の猪口になり、この語源は
深くて口が小さいので、猪の口を連想した猪
突から来たもの。独酌には、ぐい飲みが極致
で、口当たりがよく、吸い込むなめらかさが
味わいを楽しめます。酒量を誇らずに、味わ
いを重視するなら一流の飲みっぷりになる。
うーん、これは耳が痛いですね。酒量はたいしたことはないのですが、ついつい見栄を張って三合呑んだ、五合呑んだとやってしまいます。もちろん一升なんて呑めませんが、その昔、一合も呑むと気持ちが悪くなる時代がありましたから、呑めるようになったのがうれしくてついつい言っちゃうんですね。毎晩、睡眠薬代りに呑んでますから強くなるのは当り前なんでしょうが…。
「味わいを重視する」というのは、なかなか難しいことだと思います。良い酒と悪い酒の差異は、雑味で主に判断しています。もちろんコクや辛さも大事ですが、私にとっては雑味です。雑味の元は添加物だと思うのですが、てきめんに二日酔いします。量とは関係ないようです。良い酒は五合呑んでも二日酔いしません。「酒量を誇らずに」と中村さんはおっしゃいますが、良い酒は誇る気がなくても呑めちゃうから不思議です。そういうことを言うこと自体が誇ってる証拠だ、とお叱りを受けそうです(^^;
○文芸誌『星窓』11号 |
2001.8.31
大阪府中央区 星湖舎発行 1000円+税 |
現代書籍事情「今、書店は・・・」という特集がありました。私が副委員長をしている日本ペンクラブ電子メディア研究委員会で、オンデマンド出版や電子書店などについて研究していることもあり、興味を持って拝見しました。出版不況が大手や中小書店を問わず起きている現状が分析され、それはそれで参考になったのですが、「オンライン書店」という項目で重要な記事が書かれていました。オンライン書店(この本ではインターネット上の書店と定義されている)の大変さと成功例についてです。次のように書かれています。
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ある大手の書店の場合、すでに売上全体の二割をオンライン書店が担っていると救えてくれた。ただ、その人は同時に次のようなことも教えてくれた。
「ネットでのお客様からの注文に、店員一人が店の棚から本を探し出し、さらに伝票を書き梱包作業をする。店舗なら、お客様がご自身で本を選びレジまで持ってきてくれる。書店としては、そこで確実に代金と引き換え、袋詰めの作業をするだけである。現状のオンライン書店では、一冊の本に対して手間暇がかかり過ぎて採算面で問題が多く、大手の書店はどこもサービスの一環として我慢してやっている状態だと思う」
一方、哲学書の品揃えでは有名な京都のある小さな書店から、次のような報告もある。
「某研究者の書籍販売リストを作り、オンライン書店で注文を受け付けたところ、京都の小さな域からはみ出し、全国各地から注文が来るようになった」
こちらは、小さな書店のオンライン書店化の成功例である。
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具体的に「二割」とは金額ベースでどのくらいで、「全国各地から注文が来るようになった」のは何冊くらいなのかというのが判りませんから、簡単には論じられませんけど、そうだろうなと思います。設備投資が少ない分、オンライン書店は既存の大手書店にはあまりメリットが無く、小書店の拡販には有利でしょうね。しかしアマゾン・コムの失敗例もあるように、そう手放しでは喜べないでしょう。全国各地から注文が来るようにするには、例えば新聞の全国版に広告を出しても原理は同じでしょう。宣伝費がケタ違いに少なくてすむというメリットはインターネットにはありますけど…。
いずれにしろ、こういうナマの声が聞けたことは幸いだと思っています。旧通産省の肝いりでインターネット配本の実験が始まった頃、わが電メ研と大手出版社数社と懇親会を持ったことがあります。当時の各社の担当者は意気盛んでしたが、現状は必ずしも成功とは言えないようです。その懇親会を契機に作家の著作料が気になって、電子出版契約の指針なども作りましたが、現実はまだまだ契約が問題になるような事態にはなっていないですね。流通ばかりが取り沙汰されますけど、やはり良質な作品をどう提供していくかを、我々実作者は考える必要があると思います。
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