きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.1.12(
)

 日本詩人クラブの新年会が神楽坂エミールでありました。いつもの例会と違って講演はなし。講演を録音してテープ起し、会報への記録もなし。従ってのんびり呑めるということです^_^;

020112

 相変わらず立食での食事は遠慮していますが、お酒はたっぷりいただきました。写真はその立食の様子です。同じ会費を払ってこれを食べないというのは、確かに損な感じはしますけど、その分お酒を余分にいただいていますから同じかなと思います。でも、どうして食べないんだろう?と自分でも思います。はっきりしているのはメンドーなんです。何を食べるか、何を組み合せるか考えると面倒になりますね。そんなことを考えるなら呑んでいた方がマシ、そういう判断なんですね。どうでもいいことですけど^_^;



詩誌『燦α』13号
san alpha 13
2002.2.16 埼玉県さいたま市
燦詩文会・二瓶徹氏発行 非売品

 衝動/ユース

壊して
壊して
壊して

粉々に

でも

どんなに小さく砕けても
無くならないんだ

わたし

 これはおもしろい作品ですね。自我がはっきりあって、読んでいてうれしくなりました。時代はリストラ。小さくなって頭を下げて、吹きすさぶ風をやり過すような生き方を大勢の人がしていますが、その底には「どんなに小さく砕けても/無くならないんだ//わたし」というしぶとさがあるんですね。勇気づけられる作品だと思います。小品でもこれだけ言えるんだと感心しました。



詩誌『禾』3号
nogi 3
2002.1.1 宮崎県東諸県郡高岡町
本多企画・本多寿氏発行 500円

 船下ろし/桜井さざえ

倉島橋の造船所で大安の日に進水式があった
この土地では船下ろしと言う
父の何隻めの船なのか
進栄丸の名は変わらない

船の真ん中のエンジン室の上に
船霊様の御神体を収めた木製の厨子を据え
御神酒や 米 塩 尾頭付きの鯛 紅白の蒲鉾
大工道具の墨壷 曲尺 金槌
マストには船主の親族 知人 船大工たち
贈られた祝い旗がひるがえり
神主様の祝詞と船主のかしわでに合わせ
船霊様に航海安全をお祈りする
紅白の鏡餅が船主の手で海に投げれ
集まった近所の人達に小銭や
紅白の餅を投げ与える

エンジン室に船霊様が収められ
船首に御神酒を注ぎ船を海に下ろす
「女は縁起が悪いけん早よう船から下りんさい」
旗をなびかせ海に走り込む快感がなぜ男たちのもの
わたしは船を下りる振りして船尾に隠れた
走りだした船の甲板に立って浜の人たちに手を振った
あっと声を止げる人々

新造船の初航海で船首が破損した
船霊様の罪が当たったと皆に白い眼で睨まれ
本家のお転婆 ざざくり やんちゃくれ
噂に背を押され わたしの船出は大嵐
父は木造船から鉄船に切り替えて
進栄丸の強運の兆しに女も縁起がええんで
船霊様も女は好きで わしも女は大好きじゃ
父は大きな手で私の頭を小突きにんまり笑った

 久しぶりに「女は縁起が悪い」という言葉を見ましたね。確かに昔は地鎮祭などでそう言われた憶えがあります。特に船乗りにはそういう縁起をかつぐ人が多かったのかもしれません。今、そんなことを言ったら大変でしょうけどね。それにしても父上の太っ腹。「父は大きな手で私の頭を小突きにんまり笑った」というフレーズにはホッとさせられました。昔は底意地が悪い人も多かったように思うのですが、そういう話の判る$lもいました。私もそんな人に何度も助けられて生きてきたように思います。
 ところで「倉島橋」は倉橋島≠フ誤植だと思います。倉橋島と言えば桜井さざえさん、と決っていますから、間違いないでしょう
^_^;



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