きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科 |
2002.4.5(金)
日本詩人クラブの理事会が開催されました。来週に予定されている3賞贈呈式の役割分担などを決めました。私は新人賞受賞者への花束贈呈を命じられましたけど、写真も撮ろうかなと思っています。写真撮影の担当は総務になりますけど、まあ、個人的な趣味として…。
会計担当には「賞金、忘れるなよ」という声があがりました。意外とあるそうですね。当クラブでも実例があったそうで、担当者はあわてて家に取りに帰ったそうです。金額は3賞合せると70万円、誰かにちょっと借りるという金額じゃありませんからね、担当者は真っ青になったろうなと想像します。
○秦恒平氏著『湖(うみ)の本』46号 |
2002.3.25
東京都西東京市 「湖(うみ)の本」版元発行 1900円 |
「懸想猿(シナリオ正・続
処女作)」という副題が付いています。1963年、著者27歳の作品です。築地松竹座内にあった「シナリオ研究所」に半年通った成果、とありました。70名の研究生で最後まで残って課題のシナリオを提出したのはたったの2名、そのうちの1名が著者だったというわけです。当時の松竹専務と批評家岸松雄氏より80点をもらったそうです。しかし、著者としてはシナリオ作家になる気はなく、小説の勉強としてシナリオを書いたに過ぎないようです。従ってこれ以降は書いていないそうですから、作家・秦恒平の唯一のシナリオということになります。
前編にあたる「正」は明智光秀の時代の話。光秀の家臣・飯尾弥助昌景の<懸想>を軸に、隣家に住む新婚のえん≠フ不義が描かれていきます。不義の子芳≠残して物語は終ります。
後編「続」は、それから300年を経た1945年頃。芳≠ニ同名の老婆が前編を引き継ぐという設定です。一瞬、300年を生きた芳≠ェ現れたのかと錯覚しますが、そこは筆力で読者は納得してしまいます。ものの見事に時空を超えた設定は、当時27歳の著者の柔軟な頭脳を思わせます。
これ以上詳しくは書けませんが、シナリオとしても小説としても読み応えのある作品です。この後の作品「丹波」「もらひ子」「早春」への萌芽を感じさせるシナリオで、まさに処女作≠ニ銘打つにふさわしいものだと思います。良質な日本文学を求めている方には、是非お読みいただきたい作品です。著者へのアクセスは、拙HPリンク集の「湖の本」からどうぞ。村山のHPを見て≠ニお書き添えいただいて結構です。
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