きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.4.26(
)

 職場の気の合った仲間と呑みに行きました。開店1年ほど、という近くの居酒屋ですが、居心地が良くて、気付いたら4時間も同じ店で呑んでいました。日本酒はお決まりの「八海山」程度しか置いてなかったんですけど、珍しいところでは京都の「京山水」というのがあって、味はマアマアでしたね。
 男4人、女3人の仲間で行きました。座の中程になって、そのうちの未婚の女性が「結婚します」と宣言して盛り上りました。何人かは事前に知っていたようですが、私はそういう情報にウトい方ですので、ビックリ。気立ての良い女性ですから、もちろん皆でお祝いの乾杯。そんなこともあって、時間の経つのが判らず、4時間も居座ってしまったのかもしれません。亭主になるという男も迎えに来て、そこでも盛り上って、いい時間を過させてもらったなと思いました。若い人が自分の将来に前向きに向かって行く姿は、見ていて清々しいものですね。



詩と詩論誌『新・現代詩』4号
shin gendaishi 4
2002.4.1 横浜市港南区
新・現代詩の会 出海渓也氏発行 850円

 今号の特集は「関根弘の詩業」。もちろん名前や作品のいくつかは知っています。しかし不勉強で詳しくは知らない、というのが実態でした。ですから、詩人の身近にいた人たちによる評論、未亡人へのインタビューなど、私には新鮮なものが多かったと思います。9.11事件以来の世界情勢を考える上で、関根弘ならどう表現したか、という見方もありそうで、タイムリーな企画だったと思います。
 もうひとつ、小特集として「アフガニスタン、日本、そして世界へ…(その2)」がありました。アフガン侵攻を詩人がどうとらえるか、これも興味ある企画です。

 メッセージ/禿 慶子

幼さの残る顔にうっすら産毛が光り
唇から貝殻の先を覗かせ
大きな目を天に向けて
「これで国を守るんだ」と
誇らしげに銃を掲げた少年よ
きみが空の果てにとらえているものは なに
衣服や額にこぼれる髪も砂塵にまみれ
でも 清潔で輝いているのは なぜだろう
離れた丘陵から立ち登る時ならぬ入道雲
炎の尾を引いて飛ぶひとだまの群れは
幽界から迷い出たには あまりにも
明確な意図で闇を切り裂いていく
少年よ この混迷を生き抜いて

かつて あどけなさの残る児童のころ
わたしも「これで敵を殺すのだ」と
鈍く光る相模湾に竹槍をかまえたから
あの貧しい少女も清潔だったに違いない
死ぬという現実も殺すことの本意も解らず
思い詰めた日の体験は 何だったろう
禁断の思い出として踏み固めたが
幼いわたしの姿が少年に重なって胸が痛い

いたいけな少年たちを
ジェノサイドに加担させるのは大人の責任だ
地球のどこに住んでいようとも
今度は逞しい青年になって
きみのメヅセージを伝えて欲しい
「殺さないことを考えようよ」って
衛星の電波にのせて

 紹介した作品はその中の一編です。作者自身にも「これで敵を殺すのだ」と「竹槍をかまえた」経験があり、「誇らしげに銃を掲げた少年」との共通点を読み取るとき、読者にも「胸が痛い」思いが伝わってきます。「清潔で輝いている」少年、少女を「ジェノサイドに加担させるのは大人の責任だ」と訴える作品に、現在の日本を重ね合さざるを得ません。言論統制の布石を打って、国民皆兵を画策する政府に、私たちの子供も同じ目に合うのではないかと感じさせる作品だと思いました。



総合文芸誌『中央文學』458号
chuou bungaku 458
2002.4.25 東京都品川区
日本中央文学会発行 600円

 記憶の種/鈴木美記雄

過ぎた

時を

なつかし・む
「それは 年のせいだよ けれど いくつになっても前向きでなきぁ……」
「そうそう イキイキとネ」
などと おっしゃる人もいる
でも
わたしは 時折 誘われる
落としてきた記億の種さがしに

そして
もし もどってきたなら
発芽しそうな
それを
短い行く末の道のわきに
植えてみたい
………

「過ぎた//時を//なつかし・む」という部分では、なぜ1行空きにしなければならないのか、なぜ「・」が必要なのか、私には理解できないのですが、「記億の種」が「もし もどってきたなら」「短い行く末の道のわきに/植えてみたい」という感覚は伝わってきます。私も「年のせい」なりかもしれません。こういう作品がようやく理解できるようになったのだと自分では思っています。
 小説では巻頭の小川登姉子氏「日暮れ前」が秀作だと思います。40年も前の、定時制高校時代の仲間の死を軸に、単身赴任の夫や独立していく子供の前で、自分の人生は「誤算」だったのか考える「わたし」の圧倒的な存在感を示した作品と言えるでしょう。「とにかく夕食をとろう。」などと、何気なく置かれているフレーズに作品の奥深さを感じ、力量をも感じさせる作品です。



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