きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.5.24(
)

 職場の歓送迎会がありましたが、サボりました。体調がイマイチなんです。昨日は一日休暇をとって、総てを放り出して寝ていました。酒も呑まずに24時間も寝てしまいました。今日も会社に行くには行ったんですけど、改善の兆しが見えないんで、午後から帰ってきてしまったというわけです。
 現象は、ネムイ^_^; 少しは頭痛もありますけど、これは大したことはないですね。医者に行っても、症状はネムイだけ、じゃ診てもらえそうもありませんから、自主的にやめています。私が医者だったら絶対に「じゃあ、寝てろ」って言います。その通りにした次第です。
 午後から3時間ほど寝て、少しは改善したかなあ? こうやって書けるまでにはなりました。昔の人は、人生わずか50年。それをとっくに越えましたから、何があってもおかしくはない年代なんだろうと思います。昔、一緒にスキーに行ったりキャンプをしていた女性が、私より少しは若いのに、先週亡くなりました。そうやって、ひとり欠け二人欠けしている年代なんでしょうね。



月刊詩誌『柵』186号
saku 186
2002.5.20 大阪府豊能郡能勢町
詩画工房・志賀英夫氏発行 600円

 むらさき花大根/北村愛子

植物に興味を示さない娘に
せめて我家の庭の木だけでも
覚えさせようと
あれは連翹、あれは山吹
こちらは八重桜 こちらにさるすベり
花の季節になると教えたが
いっこうに覚えようとしない

むらさき花大根が咲き始めたので
この花は平和の花*だから覚えておいてね
と念を押したのだが
覚えたのかわからない

ところが今日メールが届いた
「おかあさん!むらさき花大根が咲いているよ
いるま川の土手にいっぱい咲いているよ
神社の境内にも咲いているよ」

やっと気がついた むらさき花大根の美しさに
平和の思いに

 *中国人の死体を埋めた丘の上に咲いていた花。帰還兵が種を持ち帰って平和への願いをこめてひろめた。

 なぜ「むらさき花大根」が「平和の花」なのか疑問でしたが、註釈で理解しました。そういえば、そんな話を聞いた覚えがあります。第二次大戦の頃の話だったと思いますが、現在に続いていたんですね。
 「いっこうに覚えようとしない」娘さんがEメールで知らせてくれた喜びが素直に伝わってくるとともに、50年の歴史を越えた世代のつながりを感じます。母娘の個人的な話題の裏に、日中の歴史という時間と地域の広がりを感じさせる佳品だと思いました。



個人詩誌『色相環』13号
sikisokan 13
2002.5.25 神奈川県小田原市
斎藤央氏発行 非売品

 宿題

特殊学級の数学の時間
笑顔のかわいい女の子が
時計の読み方を習っている

厚紙でできた時計の
短針の位置を読み取りながら
少女は正解できた喜びで
声を弾ませる

少女の体内時計が
少しだけ時計の文宇盤と一致した日
少女は自分のノートを差し出して
教師に宿題をせがんだ

彼女が背負った
人生の宿題は重いけれど
その瞬間
ドラマのなかのどんなヒロインよりも
瞳を輝かせているように見えた

十年後 あるいは二十年後
少女の人生は輝いているだろうか
読み取ることのできない未来が
砂時計のように
さらさらと私のなかに落ちていく

 学問をする基本的な喜びを「笑顔のかわいい女の子」から教えられた気分です。「数学」とありますから、おそらく中学校でしょうか、「正解できた喜び」が素直に伝わってきますし「宿題をせが」む気持もよく判りますね。そして「彼女が背負った/人生の宿題は重い」ことを知っている教師の、慈愛に満ちた眼差しも感じとれます。教師と生徒という関係を横軸に、学問を縦軸にした重層的な好作品だと思います。



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