きょうはこんな日でした 【 ごまめのはぎしり 】 |
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科 |
2002.7.9(火)
暑い! 現在の室温は30℃です。日中はほとんど閉め切っていますから、夕方帰って来てから窓を開け放しても間に合いません。特に18時頃はベタ凪で、空気がちっとも動かない。毎年、エアコンを買おうかなと誘惑に負けそうになるんです。でも、20時頃になると富士山方向から風が吹いてきて、ああ、必要ないや、と思います。その繰り返し^_^;
現在、19時50分。さわやかに風が入ってきました。もう少しするともう少し強くなる。毎晩00時頃には決まって強い風が吹きます。窓を半分ぐらいは閉めないと大変なほどです。一日のうちで2時間我慢して、1年のうちで2週間ほど我慢すれば暑さはやり過せます。それが判っているからエアコンを入れないようにしているんですが…。地球温暖化でこの先もっと気温が上がるようですと考え直さないといけないのでしょうけど、まだ頑張ります。風よ、もっと来てくれ! おお、そうだ、扇風機を出そう。
○詩誌『東国』120号 |
2002.6.10 群馬県伊勢崎市 東国の会・小山和郎氏発行 500円 |
野井戸/川島 完
廃村に残されたもの
草いきれに身を隠す野井戸ひとつ
つわものどもの駆け抜けた道筋
たとえば 武田軍団のひづめの響き
水戸天狗党の隊列の風
それを観ていた旱星
拵えものの見た夢
上州の山境がうねり見える信州の火山灰地
井戸を覗く
まだ水脈は生きているのか
自閉の怒ったような <気> が潜む
音はない
光もないさかさまの宇宙
落した石が
立ち往生した頑なな自我と無限の誇りに
斬り込む
暗い どこまでも暗い男の無念
苔むした皮膚と声帯と意志
天としか語りあえぬ孤独
悲しいほど狭い視野
「おい、どうする、これから……」
呼びかけた声を奈落がいっとき咀嚼する
が すぐ まっすぐ嘔吐する
落武者でもないのに
すべからく不機嫌な男だ
世界は立ち枯れのまま腐り
漆黒の毒素になって気化し溜まり
いつかきっと復讐するだろう
夜の暗さ血の重さなんて笑止だ
<死んだら死んだで生きてゆくのだ>
浅間嶺の煙が頭上を疾る
彼奴もなかなかしぶといな
< >内、草野心平の詩句
私も好きな幕末がベースにあって、きちんとは理解できていないと思うのですが好きな作品です。「拵えもの」がひとつのキーワードでしょうか。意味はいろいろありますけど偽もの≠ニいう解釈が妥当なように思います。ですから「拵えもの」も「男」も「落武者でもないのに/すべからく不機嫌な男」もすべて同一人物として鑑賞しました。最後の「彼奴もなかなかしぶといな」のみに作者が現れているという解釈です。間違っているかもしれません。
そして全体が川島完という詩人の暗喩ととらえました。そうやって見ていくと「野井戸」というタイトルも「草野心平の詩句」も実に効果的に使われているなと思います。ちょっとニヒルで、心憎い作品に仕上っていると思いました。こんなの、書いてみたい^_^;
○滋賀銀行PR誌『湖』142号 |
2002.7 滋賀県大津市 滋賀銀行営業統括本部編集 非売品 |
西本梛枝さんの連載「近江の文学風景」は岡本かの子作『金魚繚乱』です。琵琶湖と瀬田川を舞台にして金魚屋の息子が理想の金魚をつくる小説のようですが、浅学にしてまだ読んでいません。しかし、夫・岡本一平、子・岡本太郎という境遇のかの子の性格にまで及ぶ紹介で、興味をそそられます。吉村昭の作品にも鯉の飼育に熱中した男を描いたものがあり、それと近いようにも感じられました。
おそらくこの作品は私の身近にあるはずです。講談社か新潮社の日本文学全集を持っていますから、その中にあるだろうと思うのです。しかし残念ながら実家の書庫に置いてあります。こういうときは身近に本を置いておけない境遇が嫌になりますね。ああ、図書館が欲しい^_^;
次善の策として、次回は紹介作品名を見て、実家に取りに帰って、それから西本さんの文章を読みましょうか。
○鬼の会会報『鬼』361号 |
2002.8.1 奈良県奈良市 鬼仙洞盧山・中村光行氏発行 年会費8000円 |
秤を恐れる鬼(「中国鬼話」)
鬼には体重がありません。あるとき、妊婦が出産するときに、妊婦の血を吸いとる産婦鬼が登場しました。その産婦鬼を捕らえた肉屋さんが、切りさばく前に秤で体重を計って見たのです。ところが、秤の目盛りが一向に動きません。そこで、鬼には体重が無いと分かりました。その肉屋を記念し、妊婦の安全確保のため、農村では出産時に出入口に秤、窓べには包丁を置く風習が生まれたのです。
連載「鬼のしきたり(50)」の中の一文です。ここに書かれていることはまったく知らないことでした。「鬼には体重が無い」というのは具体性があって、おもしろい話だなと思います。「中国鬼話」とありますけど日本の農村にもあった風習でしょうか。出産と鬼という関係も初めて知ったことですが、昔の出産を考えたら相関を感じますね。
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