きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.7.10(
)

 台風ですね。明日、朝から出張なんです。台風の進路にあたる品川まで。どうなっちゃうのかな。多分、台風が行ったあとだと思うんですけど…。まあ、駄目なら出張は中止にするしかありません。それにしても私の上司は「普段の心がけがわるいからなあ」ですって。まあ、これは許せる。許せないのがその次の発言、「今日、行ったら?」。冗談じゃない! もちろん断って、予定通り明日にしましたけど、どうなるかなあ。新幹線、東海道線、小田急線と選択肢は3路線ありますので、全部がダメになるということはないと思うんですけど、時間通り辿り着けないという危険はあります。
 新製品発売に関係する会議だから、あまり延期したくもありません。まあ、一日くらい延びてもどうということはないんですけど、関係者が漏れなく集るというのは結構難しいものなんです。下手をするとすぐに一週間ぐらい延びちゃいますからね。早く台風が過ぎ去ってくれるのを願うばかりです。



隔月刊詩誌『石の森』110号
ishi no mori 110
2002.7.1 大阪府交野市   非売品
交野が原ポエムKの会・金掘則夫氏発行

 生殖の器/夏山直美

完壁な幸福を求めるなら
結婚をしない方がいい
いい加減な不幸を
のぞいてみたいなら
結婚をしてみるのもいい
ただし
結婚をして後悔をする人は
砂利道の砂利の数ほどいるけど
離婚をして後侮をする人は
道端に真珠が落ちているほどもいない

男女平等は
神話であり
男と女の間には
決して渡れない
天の川があって
一年に一度もまじわれない
YとXの染色体の形以上に
男と女は異物だから

父系社会では
男は女を否定することで
(オス)の存在を肯定する手法をとる
時に家政婦
時に娼婦
生焼けの土器に
火入れをする
マリアの手は消えた

好きも嫌いも
女がついていて
女が主人公のようなふり
社会は
力で巡っている

立ち上がる女は子孫をのこさなくなり
立ち塞がる男は子孫をのこせなくなり
生殖と家族の形は神の手から離れた

 なかなか厳しい見方だなと思います。特に最終連の「生殖と家族の形は神の手から離れた」というフレーズは意味の深い言葉と言えるでしょう。第1連も鋭い視点ですね。私も離婚経験がありますから、作者の意図とは違ってしまいますけど「離婚をして後侮をする人は/道端に真珠が落ちているほどもいない」といことを理解する一人です。
 なお第2連の「決して渡れない」は、原文では「決して疲れない」となっていました。誤植と思い訂正してあります。



詩誌『はちょう』計号
hacyou kei
2002.7.7 埼玉県川越市
吉田多雅子氏発行  500円

 世界や日常について/伊藤真一

 動物園は苦手なのと貴子は言い、どうして
と私が問う前にかわいそうだからと彼女は言
葉を継いだ。気持ち広がった私たちの間を長
い柄の付いたぺンギンの玩具を引きずりなが
ら男児が通り抜けていった。私たちは三杯の
コカ・コーラを手にしていた。クラボウの浮
動株は三十パーセントに迫っていたのだが、
それが三十五パーセントからのことなのか二
十五パーセントからのことなのか、そのとき
の私には判断がつかなかった。
 両の足がそれぞれ回転しぺたぺたと音をさ
せるのがその玩具の本来の姿なのだろうが、
男児の踵に続くペンギンは回転を禁じられ、
アスファルトに白と黒の足の欠片を落として
いた。西日によって細く長くなった男児の影
の幅だけ左右に振れながら、首をくくられた
ペンギンが時折、アスファルトの噛んでいる
砂利をぱちぱちと蹴るのが聞こえた。いつか
シンドラーのリストの途中で席を立ったこと
を謝ると、忘れていたと貴子は言いたそうに
した。

 かいつまんで言えば、動物園に「貴子」と行ったら、「ぺンギンの玩具を引きずりながら男児が通り抜けていった」という、たったそれだけの作品なんですが、惹かれますね。まず、タイトルがいい。「気持ち広がった」印象を受けます。「浮動株」のことも「シンドラーのリスト」のことも効果的に配置されていて深みを感じます。「私が問う前に」「彼女は言葉を継いだ」り、「貴子は言いたそうにした」りと、「私」の心理もうまく反映されていると思います。こう言ったら失礼になるかもしれませんが、詩を読んだ、という読後感です。



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