きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.8.11(
)

 9日間に渡った私の夏休みも今日でおしまい。本当にあっという間ですね。あと一週間ぐらい欲しい^_^; で、最終日は終日、西脇順三郎研究です。ある同人誌からの依頼で西脇順三郎論を書けというので、勉強してます。手持ちの資料が少なかったので、昨日、東京で探しました。八重洲のブックセンターには「ちくま哲学の森6」の「詩と真実」にちょっと書いてあったから、これを購入。新宿の西口紀伊国屋書店にはまったく無し。東口の紀伊国屋には3冊ありました。いずれも『西脇順三郎詩集』で、思潮社、白鳳社、彌生書房版がありましたから総て購入。全集や全詩集はさすがにありませんでしたね。
 さて、これをどう料理するか。生前の西脇さんには唯一、葉書をもらったという接点があるので、その辺から論を起していこうと思っています。締切は今月末ですから、何とか間に合うでしょう。喜んでもらえる視点で書きたいものです。



詩誌『スポリア』11号
suporia 11
2002.7.30 愛知県知多郡武豊町
スポリアの会・坂口優子氏発行 非売品

 冬/F.W.ハーヴィー作  おおはしいさむ訳

首をくくったのさ 太陽は
そいつは希薄な空気のなか
案山子よろしくぶらさがる

恋に狂い死にしたのさ 太陽は
そいつは 樹々にからみつき
美しいすべてのものに恋をした

恋のヒーローだったさ 太陽は
そいつは いまや 森じゅうに
血のしずくをまき散らす

首をくくったのさ 太陽は
そいつは今日のくすんだ雨空に
なんと痩せほうけてかかるのか


 Winter  by F.W.Harvey

He has hanged himself−the Sun.
He dangles
A scarecrow in thin air.

He is dead for love?heSwi−the Sun,
He who in forest tangles
Wooed all things fair

That great lover−the Sun,
Now spangles
The wood with blood-stains.

He has hanged himself−the Sun.
How thin he dangles
In these gray rains!

 巻頭の「ぽえむらんど」に掲載されている作品です。訳文と原文を紹介してみました。「冬」を表現するのに太陽が隠れていることを書くのは常套手段かもしれません。しかし、その太陽が隠れていることをこれだけのイメージで表すとは、作者の感受性の豊さを知らされますね。
 訳文にも注目しました。私は技術系の翻訳しかやったことはないんですけど、「
That great lover」「gray rains」などをどう訳すのか、興味津々でした。見事に訳していると思います。それもそのはず、編集後記によると、訳者は愛知教育大学名誉教授で、今春「瑞宝章」を受賞された方だそうです。



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