きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.9.29(
)

 初めて池袋小劇場に行ってきました。日本詩人クラブ会員の脚本家・赤木三郎氏より招待券をいただいていました。出し物は赤木さん台本の、ブレヒト作「セチュアンの善人」。10人の出演者がそれぞれ2役〜3役をこなすというものですけど、分離はよく理解できました。10人もの俳優が20人にも25人にもなるわけですから、観ている方としては混乱するかなと心配していたんですが、それは無くて役回りがはっきりと理解できたのです。それにまず驚きましたね。
 演劇についてはまったくの門外漢ですが、素人目でも判ったことは主役(前原礼子)の存在感です。神に一夜の宿を貸した売春婦シュン・テと、悪人のいとこシュイ・タ(男)の2役を良くこなしていたと思います。2役の必然性もちゃんとあって、観る者を引きずり込んでいきました。
 新人の清水あくたも存在感のある男優でした。身体の大きさをうまく生かした演技は光りましたね。でもセリフのトリチが少々あって、その辺は経験不足なのかな?
 女優では姪と家主・売春婦の3役をこなした瀬尾奈津子が良かったですね。女性の美しさといやらしさを存分に表現したいたと思います。
 池袋小劇場は50名も入ればいっぱいの、本当の小劇場です。でも、それだけ俳優と観客が一体感を持てる場と言えるでしょう。機会があったら是非訪れてみてください。お勧めです。



個人誌『むくげ通信』12号
mukuge_tsushin_12
2002.10.1 千葉県香取郡大栄町
飯嶋武太郎氏発行  非売品

 最近の世相/成耆兆(ソンキジョ)

大が噛み付きあって喧嘩している様を
しっちゃかめっちゃかだと云うが
人が互いに罵り合っている様も
しっちゃかめっちゃかだと云う
確かに人は大じゃ無いのだが
偉い奴は偉い奴同士
労働者は労働者同士
会社員は会社員同士
公務員は公務員同士
教師は教師同士
学生は学生同士
政党は政党同士
互いに罵り合いいがみあっているのに
こいつらを一気に襲う
大雨が降らないんだなー 全く。

 最後の「全く。」という一言ですべてがキマった作品だと思います。この一言が無かったとしたらシマリのないものになっていたかもしれませんね。「最近の世相」は、書かれている通りだと思います、韓国も日本も。それを憂うのに、たったの一言が詩作品として成立させたと思います。こういう作品の書く上での見本と言えるのではないでしょうか。



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