きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.10.1(
)

 もう10月。早いものだなと思います。特にこの1ヶ月ほどは職場異動したこともあって、矢のように過ぎて行きます。部下の女性たちには冗談で「息つく暇もない」と言っているんですけど、実感なんです。問題が解決しないうちに次から次へと新しい問題が襲ってきます。電話で、Eメールで、Faxで。すべてはすぐに対応できるわけはないので、いくつかの事案は積み残しています。もちろん相手にはすぐに対応できないことを伝えてありますけど、不満はあるだろうなあ。完璧にこなすことはなかなか出来ないことです。
 そんな中でも救いなのは部下の女性たちです。「うちの上司は忙しいんだから、つまらない問題を持って来ないでよ!」と電話でやり合っているのが聞こえてきます。それにどれだけ助けられていることか…。彼女たちに気持良く仕事をしてもらえる環境を考えるのが私の仕事のひとつと思っているのですが、現実は彼女たちに私が気持良く仕事をさせてもらっている、そんな構図になっているなあ。ありがたいことです。



沼津の文化を語る会会報『沼声』268号
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2002.10.1 静岡県沼津市 望月良夫氏発行 年間購読料5000円

 首都高速の建設費
 砕石工場の幹部がわたしに呟いた。「首吊って保険金で会社を整理できることなら、そうしたい」と。首都高速の建設費用が一m、なんと一億円とか。我々民間の競争社会に生きる者なら「凍結・継続」の激論を交わす前に先ずコストの構成を徹底的に分析する。資材、人件費等々。今の半額になると彼は言う。 さすれば 予定通り全線開通も夢ではなく、 仕事も確保され 工場も安泰。しかしこんな提言、お役所、各位の聖域を侵すことになるのかな?[田嶋光三]
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 「猫のあくび」というコラムに書かれていたものですが、鋭い視点だなと改めて思いました。実は私も今まではコストにあまり関係ない職場にいました。技術職でしたので、上司からはコストに関係なく考えよとも言われていましたから意識してこなかった面もあります。民間企業ですから、そうは言っても最終的にはコスト計算がどこかでやられていて、新製品もコストが嵩めばボツになるのですが…。今は別の職場に異動して、常にコストを考える立場になっていますので、この文章の意味はよく理解できます。
 我が日本ペンクラブの猪瀬直樹氏も確かに「先ずコストの構成を徹底的に分析する」するということをやっているのかは疑問です。そういう発言を聞いた覚えがありません。コストが「今の半額になる」ならば、かなりの問題点が解消されそうですね。



詩誌『驅動』37号
kudo_37
2002.9.30 東京都大田区
驅動社・飯島幸子氏発行 350円

 地雷埋設/飯島幸子

近くの公園で 小学一年生の男の子三 四人が
だんご虫で遊んでいた
 殺さないように ね
通りがかりの 色黒の男の子が たしなめるように声を掛けた
同学年とは思えない態度だ
慌てて 一年生たちは散っていった
だんご虫を いじめていたわけではない
触ると 丸い玉になって転がり
暫くすると 虫になって這っていく
その様子を観察していたのだ

その男の子の母親は ラオスから日本に留学していた
日本の男性と結婚して 十年余りだが
日本語は たどたどしい
一家離散のまま
未だに内戦の危険な地域で 故国は遥か遠くにある
彼女は ことあるごとに息子に対して
懐かしい故国に帰ることができない訳と
人間や動物の 命の重さを説き続けてきたのだ
カンボジアでも 至る所に対人用の地雷が埋められていて
野山は勿論 村の中を歩くのも危険だ
テレビで ボランティアとして地雷を除去している青年を見た
彼は 学校に行けない子供の面倒をみている
片足をもぎ取られた子供も いっしょに暮らすことになった

私は 夕方の買い物をしようと
道路を歩き始めたところで 足がこわばった
片足を踏み出そうとした そこに
この 平和すぎる日本の道路に
円盤型の地雷が 埋まっているのだ

 最終連がとても良いと思います。カンボジアと日本と、物理的にはまったく離れた場所であるのに、精神的につながった具体が表現されていると思います。内戦への同情や憤りの作品は多くありますが、このような形で己の生活とむすびついた作品はあまりないのではないでしょうか。作者の詩人としての感覚の鋭さを見た思いです。「色黒の男の子」も「その男の子の母親」も「ボランティアとして地雷を除去している青年」も、そして「夕方の買い物をしようと」している「私」も存在感のある設定になっています。直接的な作品ですが、それ故に訴えるものも強いと言えるでしょう。



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