きょうはこんな日でした ごまめのはぎしり
kumogakure
「クモガクレ」Calumia godeffroyi カワアナゴ科


2002.11.1()

 職場異動後、初めて2時間サボって日本詩人クラブの理事会に行ってきました。ここ3回ほど職場異動のアオリで理事会もサボっていましたから、ずいぶん久しぶりに出席したことになります。
 とりたててこのHPで報告することはありませんが、懇親会の席上で札幌イベントへ誘われて、同意したことを記しておきます。
 昨年から札幌で「日本詩人クラブ札幌イベント」というものが開催されています。北海道在住の詩人たちのイベントです。隔年で開催されている関西大会の北海道版というところですが、こちらは今のところ毎年の開催です。
 それに行かないかと理事仲間に誘われたのですが、もともと道産子なのに1995年の詩人クラブ北海道大会以来、7年も行っていませんでしたからね、行きたくなりました。ちょうど予定も空いていましたから二つ返事でOKしたという次第です。7年ぶりか! 今から楽しみです。



沼津の文化を語る会会報『沼声』269号
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2002.11.1 静岡県沼津市 望月良夫氏発行 年間購読料5000円

 吉田康彦氏の「私と北朝鮮」が考えさせられます。例の拉致問題で、氏は北朝鮮を弁護してきた学者としてマスコミから叩かれているそうです。私も『文藝春秋』11月号で産経新聞・石井英夫氏の「親朝派知識人、無反省妄言録」という記事を読みました。それらに対する反論が「私と北朝鮮」です。大事なところですので、一部抜粋してみます。
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 産経新聞が9月19日付け一面のコラムで「一貫して北朝鮮を弁護してきた学者の代表」と私を名指し、 次週の 『週刊文春』が「8人を見殺しにした政治家・官僚・言論人」 という 特集記事で、北朝鮮を 擁護し続けた 言論人の筆頭に私の名をあげた。
 とんでもない言いがかりだ。私は北朝鮮を弁護も擁護もしたことはない。核疑惑・ミサイル発射をめぐって、「北朝鮮の狙いは何か」を解説してきたにすぎない。 国民の大半が 「北朝鮮は何を仕出かすかわからない」と怯え、慄いているので、北朝鮮の政策と外交戦略を説いてきただけだ。 核疑惑の内情を 知りうる立場にあった私は北朝鮮の意図がよく読めたので、それを私なりに分析、紹介してきたに過ぎない。私は拉致を否定、つまり「北朝鮮の犯行ではない」と言明したことは一度もない。
 ところが一日中、電話がなり続け、「国賊」、「非国民」、「売国奴」という罵声が飛び込んできた。メールは抗議と誹謗中傷の文字の洪水。 日本人の 北朝鮮観には中間がない。私はいま日本人のやり場のない反感、敵視、憎悪の矢面に立たされている。
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 正確には『文藝春秋』や産経新聞の記事を並べて比較しなければならないのですが、困難ですのでやめておきます。ここでは「矢面に立たされている」人の言葉の紹介に留めておきます。なかなかこういう反論は載らないので貴重だと思います。そして、一般論としても「日本人の北朝鮮観には中間がない」という指摘は重要でしょう。言論とは何かを考えさせられた文章です。



詩誌『蛙』3号
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2002.10.20 東京都中野区
菊田守氏発行 200円

 泥の目/菊田 守

猛暑の
二十一世紀の夏の昼下がり
都会の舗装道路の脇にある
「ちょっと一休み」の草むらから
ミミズが一匹鋪道へ這い出してきた
地中の温度が異常に上昇したため
耐えられなくなって出てきたミミズ

いつもは黒い大地のなか
いのちを生み いのちを育てる水と
泥の思想の歴史をじっくりとしみ込ませた
赤茶色の体には目も手足もないミミズ
全身をくねらせながら
泥を食ベ泥を体外へ排出する

しゃにむに土を耕して
肥沃な泥土を作っているミミズ

生きている地球の動脈のような
血液が流れているようなミミズ
伏流水の流れている大地
泥土のなかに
ひっそりと棲むミミズ

前世紀で荒れた曠野に
地球温暖化と
いのちあるものの絶滅を訴えるよう
熱いアスファルトの舗道を這っている
地球の良心のような
泥の目 ミミズよ

 「泥の目」を持ちながら「地球の良心のような」「ミミズ」に対するあたたかい眼差しを感じる作品ですね。しかもミミズは「泥の思想の歴史をじっくりとしみ込ませ」ていると言うのですから、その惚れ込みようは大変なものだと思います。「生きている地球の動脈のような/血液が流れているようなミミズ」というフレーズにも驚かされます。まさに小動物詩人の名に値する作品だと思いました。



むらせともこ氏詩集  写真・峰松昇氏
『さくら若葉のトンネル』
sakura wakaba no tunnel
2002.8.28 埼玉県越谷市 かど創房刊 1300円+税

 冬のさくら

どこまでも高く
どこまでも広く
葉をすっかり落としたさくらの木に
青い花がさいた
大空の花だ

青い花のなかを
雲が
風が
小鳥が通るとき
握手していたよ
さくらの梢
(こずえ)

 自然と小動物を描いた作品の多い詩集です。著者のやさしい眼を感じることができます。紹介した作品にもそれはよく現れていると思います。やさしいだけでなく、感覚が鋭いなと思いました。「青い花」とは「大空の花」だと判ったとき、著者の若々しい感性を知った思いです。読後感もさわやかな詩集でした。



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